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咲き誇り、散らされ、そして鮮やかに

「ここがエロ本をメインに取り扱う本屋だ」

「ほほーう♪」

「うみゅ?」

 勇者に案内された本屋は、路地裏をしばらく歩いた場所にありました。

 人通りが少ない場所にどんどん入っていくのでにゃんこは少し不安になっていましたが、反対に魔女はワクワクしていたのでちょっとだけ複雑な気分にもなっていました。

 奥の奥までやってきて、ようやくたどり着いたエロ本屋さんです。

 看板には『十八禁専門店』など書いています。

 そしてその隣に黄金のプレートが貼り付けられていました。

 魔女が近づいてその文字を読んでみます。

「なになに……『魔王陛下御用達』?」

「ああ、ここを建てたのはあのオッサンだからな」

「………………」

 褒めるべきなのか呆れるべきなのか、非常に悩んでしまう魔女なのでした。

 ここで『軽蔑する』という選択肢がないのがまた魔女らしいところですね。

「ということはロリ本ばっかり?」

 ちょっと白けた魔女が勇者に問いかけます。

「いや、利用者が増えるうちにリクエストが増えて、今ではロリ・巨乳・普通・虐待・ショタ・オヤジ・同性愛まで幅広く取り扱っている」

「幅広すぎでしょっ!?」

「くれぐれもにゃんこに薔薇族は見せないように」

「……百合ならいい?」

「……いいかも。どんな反応するか見てみたい」

 勇者がほんのり赤くなりました。

「ますたぁ、ゆりってなあに?」

「二つのお花が色っぽく咲き誇ることだよ~」

 と、ある意味正解である知識を植え付けるのでした。

「……むしろ片方は散らされるけどな」

「いやいや、それが切っ掛けでより鮮やかに咲き誇るというパターンも」

「ああ、あるな」

「?」

 魔女と勇者の会話の意味がまったく分からない、微笑ましいにゃんこなのでした。

「薔薇だってうまくいけば咲き誇るよ」

「咲かせたくねえよっ!」

「頭堅いなあ」

「下半身も硬いぞ」

「黙れ」

「げふっ!」

 下品発言に裏拳を入れる魔女でした。



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