ばらぞくってなに?
「いや、だからにゃんこの性教育に使おうと思ってね」
魔女が気まずそうに説明します。
最近にゃんこが色っぽくて萌え爆発で、はあはあなるんです。
でも襲いかかるには純真無垢すぎて、ちょっとだけ脳内を穢して……もとい大人にしてから本番に持ち込もうかな、という感じなんです。
……などということを一から説明します。
「だから、ますたぁにせーきょーいくしてもらうためにきょーほんがひつようなんだよ~」
そしてにゃんこも張り切っています。
「うわあああっ! にゃんこがっ! 俺のにゃんこが穢されるーっ!」
そして壊れかけた勇者が叫びます。
「だからあんたのじゃないって。にゃんこは私のなの」
魔女が暴言を吐いた勇者にみぞおちぱんちを喰らわせます。
「ぐはっ!」
「という訳で、エロ本を置いてある本屋さんを紹介して貰いたいわけよ。勇者ならそういうの詳しいでしょ?」
「なんで俺が詳しいと思うんだ?」
蹲りながら勇者が呻くように言います。
「だって勇者だし」
「意味わかんねー!」
「でも詳しいでしょ?」
「……詳しいけど」
何でもお見通しの魔女でした。
巨乳美女が好きなら、巨乳美女のエロ本も大好きだという魔女の推測は、もちろん当たっています。
「でもなー、俺としてはにゃんこにもう少し純真なままでいてほしいっていうか……」
渋る勇者を魔女が睨みつけます。
「案内してくれなきゃ薔薇族の本を探してにゃんこの性教育に使ってやる」
「やめろーっ! より一層穢そうとするなーっ!」
勇者が再び悲鳴を上げました。
「ますたぁ。ばらぞくってなに? おはな?」
「ええと、薔薇族っていうのはねぇ、男とおとこ……もがもがっ!」
「やめんかーっ!」
最後まで言い切る前に口を塞がれました。
一応、にゃんこの純真は守られたようです。
ごく普通の性教育ならまだしも、薔薇族を知るのはまだ早いようです。
というか、本当なら一生知る必要のない世界ですけどね。
「分かった分かった。案内すればいいんだろうが」
まいった、と両手を上げて勇者は降参するのでした。




