勇者落とし
「月詠の里も久し振りだねぇ」
「そうだね~」
今日は月詠の里にやってきました。
作った土人形を魔王と黒鍵騎士にあげるためですが、とりあえず魔王城よりも月詠の里で遊ぼうという話になったのです。
「きょうはどこいくの~?」
「本屋さんだよ~」
「ほんやさん?」
「そうそう。教育のための本を探さないとね~」
「きょーいく?」
魔女は前回の反省を活かして、まずはにゃんこにエロ……もとい性教育を施すことにきめました。
今回はその為のエロ本……もとい参考書を買うべくお店を物色しているのです。
「しかしまだ月詠の里はあんまり詳しくないんだよね~。誰か案内人がいるといいんだけど」
「ゆーしゃとか?」
「そうそう。よく出没してるしね」
「でもきょうはいないんじゃない?」
「じゃあ試しに呼んでみようか」
「?」
「あー! こんなところに巨乳美女がっ! おっぱいたゆんたゆんだっ!」
「なにーっ! どこだ!? 俺の巨乳はどこにいるっ!!」
「………………」
「………………」
勇者さんってば一瞬で現れてくれましたよ。
巨乳美女とおっぱいたゆんたゆんのお言葉だけで召喚出来ちゃいましたよ。
さすが勇者ですね。
中身はともかくとして。
「あれ? よくみたらちっぱい……じゃなくて魔女じゃねえか。おかしいな、俺の巨乳美女は一体どこにいるんだ?」
ぴしっ!
魔女のこめかみがぴくりとなりました。
危険信号です。
「あ」
鋭くそれを察したにゃんこは魔女から五メートルほど離れます。
安全区域に離脱完了です。
そしてきょろきょろしている勇者の首を魔女が締めました。
「んぎゅっ!?」
「だーれーがー、ちっぱいだって? っていうか人を認識する際にその言葉ってどうよ? ねえ勇者さま♪」
「ぐぐぐぐ……」
背後から首を絞めている魔女には容赦の欠片もありません。
このまま落とす気満々です。
「きゅ~……」
そして勇者が落ちてしまいました。
まあ、自業自得ですね。




