手取り足取り……
「こねこね」
「こねこね~」
脱線しかけましたが、大きく脱線しかけましたが、ようやく土人形作り再開です。
魔女とにゃんこは粘土状になった土をこねこねし始めました。
魔女はねこの形を、にゃんこは猫のにくきゅうあしあとの形を作っています。
「こんなものかな~」
「こんにゃものかにゃ~」
「………………」
「………………」
手先が器用な魔女はかわいらしい猫の形になっていますが、ちょっとだけ不器用なにゃんこはぐちゃっとしたにくきゅうになっていました。
「どう? うまくできた? ますたぁ」
「ええっと……」
魔女は視線を逸らしながらどう言うべきか悩みます。
これが他の相手ならば『あんたバカ? そんな代物をどうどうと掲げるなんてこの世に存在する全ての芸術家に土下座して謝って踏みつけられなさいよ』ぐらいのことは言うのですが、にゃんこ相手にそこまでドSになりきれません。
にゃんこ相手にはもふもふセクハラ方面で理性が崩壊することはあっても、傷つける意味合いでのドSにはなれないのです。
にゃんこに甘い魔女なのです。
「うー……」
視線を逸らす魔女ににゃんこが何かを言いたげです。
もしかしたら『それはちょっとどうかと思う』っていう言葉を必死で呑み込んでいるのを悟られたのかもしれません。
「ええとね、ここはもうちょっと、こうした方がいいかもしれないよ」
せめてもの妥協案として、魔女が手取り、足取り、こね取り、もふ取り、教えてあげることにしました。
「あ、そっか~。さすがますたぁだね!」
背後から抱き込まれる形で指導を受けているにゃんこはなるほどなるほどと満足げに頷いています。
手の中にあるにくきゅうっぽい物体が、しっかりとにくきゅうになっていくのを見てとても嬉しそうにはしゃいでします。
こねこねして、形を整えるためにへらを使って、土人形の原型が完成していきます。
魔女が製作したのは猫・ミニチュアにゃんこ・ミニチュア龍二匹・デフォルト黒鍵騎士・くずれた魔王・凶悪な勇者という、一部悪意に満ちた造形が混じっています。
にゃんこはひたすらにくきゅう製作です。ちょっとだけスカルくんの頭、つまりは頭蓋骨のデフォルトも製作しました。
童話の方も始めました。
「黒猫とココロのツバサ」です。
アルファポリス絵本・童話大賞に参加中ですので、気が向いた方は覗いてもらえると嬉しいですにゃ。




