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また来てね!

 今日は黒鍵騎士の魔女宅ホームステイ終了日です。

「あー、あー……」

 黒鍵騎士のお見送りに出ていた魔女が抱きつきながら未練がましく呻いています。

「あの……離してもらえると助かるんですが……」

「帰らないでー……ここにいてー」

「いえ、そういうわけにも……」

 腰の辺りに抱きつかれて困り果てる黒鍵騎士でした。

「かえらにゃいでぇ~」

 にゃんこも便乗して逆側から抱きついています。

 ますたぁの真似をしたいお年頃なのかもしれません。


 そんな未練がましいやり取りを終えてから、

「お土産のもふもふトリートメント持った?」

 ようやく落ち着いた魔女がそう言いました。

「持ちましたよ」

「ちゃんと使うんだよ~」

「もちろんです」

 魔女の理性をぶっ飛ばすほどのもふもふしっとりな威力を発揮してくれたものですから、もちろん使います。

 ……魔女がやってくるタイミングでは使うまいと密かに心に決めていますが。

「あ、これイカの匂いをつけてくれる香料だからあとで混ぜ混ぜしといて」

 魔女がちゃっかりイカアロマオイルを手渡してきました。

「………………」

 その小瓶を黒鍵騎士は遥か遠くに投げ捨てました。

「きゃーっ! 何するのよーっ!」

「いりませんっ!」

「だからって投げ捨てなくてもいいじゃんかーっ!」

「魔女殿に持たせていたらロクなことに使わない気がしたので」

「ま、まだあるもんっ!」

「………………」

 残りのイカアロマオイルも回収するべきか本気で迷う黒鍵騎士でした。

「ハンカチ持った? ちり紙持った?」

「……子供じゃないんですから」

 むしろ魔女の方が年齢的にも外見的にも子供なのですが、なんだか妙なやりとりになっています。

「じゃあそろそろ行きますね」

 黒鍵騎士は転移魔法を起動させます。

 魔王城まで一直線です。

「お世話になりました、魔女殿」

「また来てね~」

「………………」

 消えかけた黒鍵騎士は沈黙で返しました。

「ちょっと! なんで沈黙なのよーっ!」

 消えてしまった黒鍵騎士に魔女が憤慨するのでした。


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