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ちょっとだけの勝利

 にゃんこが魔女の悪影響を受けている頃、魔女と黒鍵騎士は街までお買い物に出かけていました。

「そろそろにゃんこが帰ってきそうな気がするんだよね~。ごちそう用意しなきゃ」

「分かるんですか?」

 手を繋いで街中を歩いている二人は恋人同士というよりはお兄ちゃんと妹みたいな感じです。

「使い魔とマスターは繋がってるからね~。にゃんこの達成感っぽい感情がこっちにまで伝わってくるんだよ。感情リンクもしてるから」

「便利ですね」

「まあね~」

 ひょいひょい、と魔女は材料を買い込みます。

 荷物持ちはもちろん黒鍵騎士です。

 ロリな女の子に重たい荷物を持たせるつもりのない黒鍵騎士は、もちろん荷物持ちという立場に不満はありません。

 強いて言うなら繋いだ手を離して貰ったらもう少し楽になるのになあというぐらいです。

 魔女がホームシックになってから黒鍵騎士はちょっとだけ甘やかしています。

 自分がいることで少しでも紛れてくれるなら、という感じでほだされてしまっています。

 そこまでが魔女の作戦ならさすがですし、それを利用してつけこんでいるならやっぱり魔女らしいと言えるでしょう。

 ご馳走の材料をあらかた買いそろえた魔女は、今度は薬草売り場へと移動しました。

「マッチョポーションの材料ですか?」

 にゃんこが戻って来たら作る予定のマッチョポーション、その材料を買っているのかと思っていましたが、

「んー。それはもう角以外は揃ってるんだよね」

「では何を買うのですか?」

「もふもふトリートメントを作ろうと思って」

「………………」

「にゃんこが戻って来たら毛並み荒れてるだろうしね。お手入れしてあげなきゃ」

「なるほど……」

 もふもふのお手入れは万全にしておきたい魔女でした。

「それに黒鍵騎士のホームステイ期間ももうすぐ終わるし、お土産にもふもふトリートメントセットでも持たせて上げようかなーって思って」

「それは……ありがとうございます」

 もふもふトリートメントなら喜んで受け取りたい黒鍵騎士です。

 もふもふされるのは嫌ですが、もふもふのお手入れは大好きな黒鍵騎士でした。

「わたしのもふもふなんだからちゃんとお手入れして貰わないとね」

「………………」

 魔女のもふもふになった覚えはないと言いたいところですが、もふもふトリートメントは欲しかったので黙る黒鍵騎士でした。

 ちょっとだけ物欲の勝利です。



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