ますたぁの影響。悪影響?
「にゃう~……」
可愛らしい亜竜の誕生シーンに感動したにゃんこは赤ちゃん亜竜をなでなでしたくなりましたが、少し前の亜竜頭部くちゃっと残虐シーンを公開してしまったため、それは叶わぬ夢となりました。
しかしどうしても諦めきれないにゃんこはそっと近づきます。
「グルアッ!」
そして子供を守るお母さん亜竜に威嚇されます。
「にゃう~……」
しかし諦めません。
近づいて。
威嚇されて。
近づいて。
威嚇されて。
その繰り返しです。
「なあ、にゃんこ。そろそろマジで諦めたらどうだ?」
勇者が呆れ混じりに言います。
「ますたぁならあきらめないもんっ!」
にゃんこは落ち込んでもめげません。
最後まで自分の望みを叶えようと健気に行動します。
「そりゃあ魔女なら諦めないかもしれないけどさ……」
「ますたぁならこんなときどうするかなぁ……」
にゃんこは考えます。
大好きなますたぁならこんな時にどうするのかを。
「あ、そっか。わかったーっ!」
にゃんこは両手をぽんと叩きました。
名案を思いついたようです。
「えいっ!」
「グリュアウッ!!??」
にゃんこはお母さん亜竜に無造作に近づいて、そのまま力ずくで首根っこを押さえつけました。
「グッ! グギグガアッ!」
じたばた暴れるお母さん亜竜ですが、魔力で身体強化したにゃんこの力で身動きが取れません。
「えへへ~」
そして残る片方の手で状況を理解していない赤ちゃん亜竜の背中をなでなでしました。
「くるきゅ~」
赤ちゃん亜竜は気持ちよさそうに目を細めました。
「かわいいな~」
右手で赤ちゃん亜竜をなでなで、左手でお母さん亜竜を押さえつけ、にゃんこはとても満足そうです。
そんな様子を勇者が唖然としながら見ていました。
「……悪い意味で魔女の影響を受けてるなあ」
ちょっとだけ怖くなる勇者なのでした。




