表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
238/363

一家に一匹欲しいけど三匹いたら完璧かも

「釣れないね」

「うん」

 最初こそ岸で釣り竿を持ちながらワクワクしていた魔女ですが、十五分もすれば当然のごとく飽きてきたようで、今はにゃんこに釣り竿を預けて、レジャーシートの上でごろごろしています。

 使い魔に働かせて自分はごろごろという、実に素晴らしいご主人様です。

「まあヌシっていうぐらいだからなぁ。簡単に釣れたらそれこそつまんないだろ」

「むー」

 勇者の言うことはもっともで、根気よくいけと言われているようでもあって面白くない魔女でした。

 ちなみに黒鍵騎士はヌシが釣れなかったときの為に、普通の魚をゲットすべく船で釣りに出ています。

 この辺りはワガママな主に仕えているだけあってとてもよく気が付きますね。

 一家に一匹欲しい側近です。

「……淡水魚ですから刺身よりは塩焼きの方が美味しく食べられるかもしれませんね」

 海水魚ならば刺身で活け作りというのが黒鍵騎士の好みですが、淡水魚だとあんまり刺身で食べたいという気にはなりません。

 口から貫通させて囲んで塩焼き、というのが無難でしょう。

 バケツの中には既に五匹の魚が泳いでいます。

 一人一匹ならばそれで十分な量ですが、食べ盛りの子供が一匹に、燃費の悪そうな勇者が一人、それと小さな身体の割によく食べるロリがいるので、もう少し余裕を持った数を確保しておこうと釣りに専念する黒鍵騎士でした。

 本当に気が利きますよね、このもふもふは。

 一家に三匹ぐらいいたら完璧かもしれません。

 それから更に一時間が経過しました。

「うみゅ……」

「くか~……」

「ますたぁひどいぃぃぃ……」

 暇を通り越して眠りこけている魔女を横目に、一人釣り竿を持たされているにゃんこは涙目でますたぁを恨んでいます。

「………………」

 それを船の上から眺めていた黒鍵騎士はやれやれと溜め息をつきました。

 一旦ヌシ釣りは保留にして昼食にするべきかもしれません。

 バケツの中には十五匹ほどの魚が入っており、みんなで食べるには十分な量を確保できています。

 黒鍵騎士は船を漕いでから岸に戻ろうとします。

「ねえゆうしゃ」

 にゃんこが傍観していた勇者に声をかけました。

「なんだ?」

「どうやったらはやくつれるかなぁ?」

 にゃんこの我慢も限界のようです。

「んー。まあ、ヌシっていうぐらいだから湖を荒らし回れば怒って出てくるんじゃねえの? 釣れるかどうかは別として」

「なるほど」

 にゃんこは納得したように頷きました。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ