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ヌシの一本釣り

「ついたーっ!」

 にゃんこがレギオス湖へと魔女達を転移完了させました。

 させたのですが……

「にゃ?」

「水の上っ!?」

「ぎゃーっ!」

 レギオス湖から二十メートルほど上空に浮いていました。

 というより、落ちるだけでした。

 転移は成功しましたが座標固定がまだまだ甘かったようです。

「っとと、危ない危ない」

 魔女は浮遊フィールドで慌てて三人を包み込みました。

「あう~。しっぱいした」

「……助かりました」

 実は泳げない黒鍵騎士でした。

 水の上だと分かった時にはかなり冷や汗を掻いたものです。

 この時ばかりは本気で魔女に感謝しました。

 ……珍しく。

「まあ転移は成功したんだからオッケーだよ、にゃんこ」

「ごめんなさい、ますたぁ」

 しょんぼりとするにゃんこの頭を撫でながら、魔女はにっこりと微笑みました。

「今度から気を付けてね」

 慰めているように見えるし、怒ってないから優しい風にも見えるのですが、実際のところはしょんぼりしたにゃんこも萌えだね! とか思っているだけです。

「おーい! お前らなんでそんな場所に浮いてるんだよ!? まさか浮遊しながら釣るつもりか?」

 岸の方で単独転移してきた勇者がぶんぶんと手を振っています。

「そんなわけないでしょ。にゃんこがちょっとヘマしただけ。すぐにそっちへ向かうから準備しておいて」

「……へいへい」

 またもやパシらされる勇者でした。


 岸へと到着した魔女たちは釣りの準備をしてくれていた勇者と合流しました。

「ヌシを釣るならもっと湖の中心に行った方がいいだろ。船を用意しなくていいのか?」

「んー。でもヌシっていうと大物が相場じゃない? 下手すると釣り上げたと同時に船が転覆、なんてことになりそうなんだよね」

「あー、確かに」

「だから探索魔法でヌシの位置をある程度特定して、その周辺まで浮遊して釣り針と餌をぼっちゃんする。で、岸に戻ってヌシが食らいつくのをスタンバイっていう戦法にするつもりなんだけど」

「……あんま釣りって感じじゃねえなぁ」

「まあヌシを釣り上げようっていうんだから多少の邪道は当然でしょ」

「そういうものか?」

「そういうものだね」

 というわけでヌシの一本釣りが始まります。

 邪道手段で。



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