虐める魔女あれば慰めるロリあり
というわけで魔女とにゃんこと黒鍵騎士と勇者の四人はレギオス湖へと出かけました。魔女の転移魔法ですぐに着くはずなのですが、
「ますたぁ、ぼくがやってもいい?」
と、にゃんこが転移魔法を使いたいと言い出しました。
「にゃんこが?」
「うん。てんいまほーおぼえたよ。だからつかいたい!」
どうやら勉強して転移魔法も覚えてくれたようです。
使い魔としては破格の成長ぶりですが、にゃんこは向上心のかたまりなのでこれからもっと成長してくれることでしょう。
ちなみに身体能力もスカルくんたちをにゃんこ無双でばったばったとなぎ倒せるぐらい成長しました。
この辺りは勇者との特訓の成果でしょう。
この先にゃんこは『最強の使い魔』という称号を得ることになる……かもしれません。
少なくともごく普通の使い魔ではなくなっていますね。
頼もしい限りですが、魔女としてはもふもふが重要なので、にゃんこの戦闘能力向上にはそこまで執着していません。
本人が成長を望むのなら好きにさせてあげよう、というぐらいの気持ちです。
「よし。じゃあお願いするね。私と黒鍵騎士を目的地まで送ってちょーだい」
「うん!」
「俺はっ!?」
「あ、忘れてた」
「ひでえっ! パシらせといてそりゃねえだろ!」
確かにその通りです。
魔女の非道っぷりはもう人外レベルですね。
「分かった分かった。じゃあ勇者もプラスで」
「ますたぁ」
「ん?」
「ぼくのまりょくだとよにんはきびしいかも……」
「ふむ」
にゃんこはとても強くなっていますが、それでも使い魔です。
魔女の魔力で生かされている存在であり、その魔力には勿論上限があります。
これからの成長で上限値を引き上げることは出来ますが、今の段階では四人を転移させることは難しいようです。
「じゃあやっぱり勇者は除け者で」
「やっぱり俺かよっ!」
「転移魔法ぐらい使えるでしょ? 自分でついてくればいいんだよ」
「……そりゃそうだけどさぁ。うわ、魔王の気持ちがちょっと分かってきたかも」
ちなみに魔王は魔女に冷たくされすぎてロリ成分を補給しに戻っています。
ハルマ大陸に戻れば魔王さまはロリ少女にモテモテですから、戻ってくる頃には元気になっていることでしょう。
虐める魔女あれば慰めるロリありです。
「じゃあしゅっぱーっつ!」
にゃんこは二人のやり取りをちゃっかりスルーして転移魔法を開始しました。
結構いい性格に育ちつつありますね。




