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邪道こそ本領!

「という訳で大変困っているのだよ」

 魔女は自分の家にもかかわらず黒鍵騎士に見つからないよう、裏庭でこそこそと会話をしているのでした。

 相手は勇者です。

 たまたま遊びに来ていた勇者を捕まえて速攻で愚痴る魔女なのでした。

「あっちゃ~。まあ普段大人しい奴はキレると厄介だって言うしなぁ。必然っちゃあ必然の結果じゃねえの?」

 勇者の方もようやく忍者から解放されたらしく、どこかつやつやした表情で答えます。

 きっとここにやってくる前に巨乳美女とあっはんうっふんよろしくしてきたのでしょう。

 それこそぺったん胸の鬱憤を晴らすが如く。

 忍者に知られたらまた襲いかかられそうですけどね。

 ロリになった忍者とのあっはんうっふんについては記憶を無理矢理に封印しているようです。

 ちなみに魔王は黒鍵騎士にしばかれまくって萎れています。

 すっかり枯れ果てています。

 ロリ美少女にちょっかいを出す元気も残っていないようです。

 つまりそれだけ黒鍵騎士の存在が魔王にとって大きかったということでもありますね。

 ……でもBLフラグとかは立ちませんから。

「魔王が大人しいのはどうでもいいんだけど、このままだともふもふセクハラが出来ないから欲求不満でどうにかなりそうなんだよ」

「魔王はどうでもいいのか……あと欲求不満とか言うな」

「ムラムラするし」

「………………」

 注意をしたら表現が余計酷くなりました。

「この状態が続くと黒鍵騎士に襲いかかりそうで大変だよ~」

「いつも襲いかかってるじゃねえか」

「もふもふ的な意味じゃなくて性的な意味で」

「やめろ」

 十三歳のロリ美少女にゴーカンされる魔王のもふもふ側近の姿を想像して凹みそうになる勇者でした。

「そもそもそんなことで悩むなんて魔女らしくねえだろうが」

「へ?」

「謝っても駄目。説得も通じない。確かに正攻法としてはその二つが正しいだろうけどな。だがお前は『魔女』だろう? 目的のためなら邪道こそが本領じゃないのか?」

「………………」

「魔法でも薬でも使って都合の悪い記憶なりなんなり封じちまえばいいじゃねえか」

「それだーっ!」

 今まで正攻法に拘りすぎていました。

 そうです。

 魔女なのですから邪道でいいのです。

 魔女は拳を振り上げてさっそく地下室へゴーしました。

「……黒鍵騎士、ご愁傷様」

 新たなる被害者になるであろう黒鍵騎士に合唱して、勇者はさっそくにゃんこの姿を探すのでした。

 何の為に?

 そりゃあもふもふするために決まってるじゃないですか。


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