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あつあつ鍋と猫舌

「ごちそうだっ!」

「なべだっ!」

 温泉を堪能した魔女とにゃんこはドワーフの地下都市へと戻って来ました。

 案内された部屋に移動すると、岩作りのテーブルの上に、ぐつぐつと煮えたぎる鍋が用意してありました。

 土鍋の中には野菜や肉がたっぷりと入っています。

 どうやら醤油ベースの寄せ鍋のようです。

 魔法がかかった火山岩は土鍋の下で健気に熱を発し続けています。

「美味しそうだね!」

「でもあつそう……」

 猫舌にゃんこは熱いものが苦手です。

「ゆっくり冷ましてから食べるといいよ」

「うん」

 ドワーフの女性が用意してくれたようです。

 飲み物もぬかりなく準備されています。

 魔女はお礼を言ってからにゃんこと鍋を食べました。

 こうやって鍋をつついていると家族でごはんみたいでちょっと嬉しい気持ちになります。

 一人で異世界にやってきた魔女はちょっとだけ寂しかったのです。

 楽しいことはいっぱいあるけど家族に会えないのは寂しいのでした。

 だからにゃんこは魔女にとって異世界で初めての家族なのです。

 にゃんこと一緒に鍋を食べる。

 それはとても幸せなことのように思えました。

「あち……あつつつっ!」

 にゃんこは頑張って食べようとしていますが、やはり熱いようです。

「ほらほら。もっと冷まさないと」

「う~。でもおなべはあついままたべるのがおいしいんだよね?」

「そりゃそうだけどさ~。猫舌なんだから無理しない方がいいよ」

「う~」

 にゃんこは不満そうに器を見つめます。

「うー……」

 涙目になっているにゃんこに魔女は唸ります。

 甘やかすのは良くないと分かっていてもやはり甘やかしたくなります。

 弟、もしくは子供がいるというのはこんな気分なのかもしれません。

「ますたぁ?」

 魔女はにゃんこの口の中に人さし指を入れてから魔法をかけました。

「舌に対熱防御魔法をかけといた。これであつあつ鍋を堪能できると思うよ」

「ほんとっ!?」

 にゃんこはすぐに具をついで口の中に入れました。

「ほんとだ! あついのにへいきだよっ! すごくおいしいっ!」

 にゃんこは嬉しくなってがつがつ食べます。

 にゃんこの無邪気な笑顔に嬉しくなった魔女も食事が進みます。

「よかったね、にゃんこ」

「うんっ!」

 魔女とにゃんこは鍋を思う存分堪能するのでした。


 ……杖創りに来たというよりは探検や温泉、食事を堪能しに来たような旅行になっていますが、そこは気にしないことにしましょう。



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