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いのちをたいせつに

「ん~。それなりに回復してきたかな~」

 魔女はベッドの上で自分の身体を動かしながら状態を確認します。

 身体の動きや循環魔力などで体調を調べているようです。

「それは何よりです」

 黒鍵騎士もほっとしたように言いました。

 自分の汚染魔力で傷つけてしまった為、魔女が不調だと罪悪感で押し潰されそうになっていたのです。

 まあ途中で萎んだりもしましたが、やはり不調な魔女を見ていると後から膨らんできてしまいます。

「今後はあのような無茶は避けてくださいね」

「黒鍵騎士が暴走しなければいいだけだと思うけど」

「う……」

「それに私が止めないと黒鍵騎士は魔王に殺されてたよ? それでもよかったの?」

「まあ、それならそれで構わなかったというのが本音ですね」

 少々投げやりな感じで黒鍵騎士が答えました。

「ばかっ!」

 魔女は黒鍵騎士にびんたを喰らわせました。

 自分の命を粗末にしようとしている相手に対して本気で叱りつけるような、そんなびんたです。

「魔女殿……」

 黒鍵騎士はびんたされた左頬を押さえながら魔女をじっと見つめました。

「簡単にもふもふを投げ出すようなことを言っちゃ駄目なんだからね!!」

「……魔女殿? 『命』の部分に変なルビが付いていませんか?」

「え? 気のせい気のせい」

 魔女は視線を泳がせながらしらをきります。

 じーんとしたのも束の間どころか一瞬で、黒鍵騎士の魔女を見つめる目は急速に醒めていくのでした。

 自業自得とはいえ展開が目まぐるしいですね。

「ええと、みんな辛くても頑張ってるんだよ? それから命ってかけがえのない奇跡なんだよ……それからそれから……」

 とてもいい台詞を言っているはずなのに、とても胡散臭く聞こえてしまいます。

「と、とにかくもふもふが無くなるのは駄目なのーっ!!」

 そしてついにキレました。

「……結論はそこですか」

 深いため息を吐くのはもちろん黒鍵騎士です。

「え? それ以外に重要な事ってあるの?」

「………………」

 心底不思議そうに言う魔女こそが最強でした。

「今回私が黒鍵騎士が殺されるのを庇ったのも、大切なもふもふがこの世からいなくなるのを阻止する為なんだよ。そしてこの件で罪悪感を感じてくれた黒鍵騎士につけ込みまくってあわよくば私のモノにしようっていう魂胆がプランBだったんだよ」

「………………」

 罪悪感が……!

 黒鍵騎士の罪悪感が秒刻みでゲシュタルト崩壊していくのでした。



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