ごにょごにょ
「ふっふっふ。今日こそ師匠を食い尽くすっすよ!」
そして魔女とタッグを組んだことで勝利を手に入れた忍者は勇者にすりすりしていました。
食べる気満々です。
勇者はやれやれと溜め息をついています。
「あー、まあ約束だから一晩付き合うけどな。食われるつもりはない」
「食べるっす! 何が何でも食べるっす! 攻めるのはおれっす!」
「ふん。一晩付き合う約束はしたけど受け手に回るとは言っていないからな。腕力勝負なら俺の勝ちだ。そっちがその気なら力ずくで対抗してやるよ」
「んなっ!」
がごーん! と忍者がショックを受けていました。
あんな事やこんな事をする妄想をしていただけにショックも大きいようです。
勇者は勇者で約束でしかないので適当にこなすことでしょう。
一晩だけ付き合ったらあとは知らんぷりという最低男ぶりです。
忍者が巨乳だったら一週間でも愛でていたことでしょう。
「うう……おれにもう少しおっぱいボリュームがあれば……」
えぐえぐと涙を流す忍者です。
自分の断崖絶壁をふにふに……は難しいのでさすさすしながら盛大な溜め息をつきます。
「んー」
そんな二人のやり取りを見ていた魔女がにやりんと口元を吊り上げました。
「ねーねー、忍者」
くいくいと忍者の裾を引っ張りながら魔女が耳打ちしてきます。
「なんっすか二号」
「二号言うな」
べしんと叩いておきました。
「あのね、ごにょごにょ」
「んなっ!?」
「でね、ごにょごにょごにょ」
「マジっすか!」
「マジマジ」
ひそひそ話をしながら魔女は懐から取り出した小瓶を忍者の手に握らせました。
「効果は一日だけだけどね。一種の変身アイテムだから」
「それでもいいっす! ほんとに貰っていいんすか?」
「いいよ~。楽しんできなさい」
「らじゃーっす!」
忍者は躊躇うことなく小瓶の蓋を開けて中身を飲み干しました。
魔女の飲み薬を躊躇わずに飲むことが出来るのは、魔女の本質を知らないからこそ出来る偉業ですね。
そしてぼふん、という効果音と共に変化が訪れます。




