萌殺もふもふ兵器!
「もふーっ!!」
渾身の流星キックを勇者に食らわせようと魔女が突撃しました。
「うおりゃーっ!」
勇者はそれを迎え撃つのではなく、最速で回避します。
「もふもふもふーっ!!」
魔女はそれを追いかけます。
翻訳するなら『悪足掻きをーっ!』といったところでしょうか。
『もふもふ』以外にはもう喋ることが出来ない状態になっているあたり、末期すぎます。
「え? ちょっ!?」
危険を感じて下がっていた黒鍵騎士の元に辿り着いた勇者は、そのまま捕まえて前面に押し出します。
「何するんですかっ!?」
バーサクモードの魔女を見てドン引き&恐怖しているのは黒鍵騎士も同じです。
そんな魔女に対して前面に押し出されるのはいくらなんでも勘弁して貰いたいというのが本音でしょう。
主である魔王ならばともかく、勇者のためにそこまでする気はありません。
しかし悲しいことにお互いの力量差がそれを許してくれませんでした。
強引に引き寄せられた黒鍵騎士はまるで勇者の盾になるような形で魔女の前に押し出されています。
「もっふーっ!」
今度は飛び上がって回転しながらのキックを食らわせるつもりのようです。
竜巻●風脚みたいな。
「萌殺もふもふ兵器! 黒鍵騎士バリアー!!」
そして勇者は黒鍵騎士バリアーでそれを受けとめようとします。
ヒットすれば間違いなく黒鍵騎士が重傷もしくは死亡してしまうような攻撃です。
自分が助かる為とはいえこれは酷すぎます。
しかし勇者としては黒鍵騎士のもふもふで正気に戻って欲しいという希望も込めているので全面的に責めるのも酷かもしれません。
そもそも魔王がにゃんこを人質にするような選択肢間違いをしなければこんなことにはならなかったのですから、その部下である黒鍵騎士が責任を取るのは当然のことなのだ、という滅茶苦茶な論理展開を自分の中で完結させてしまっています。
「もふっ!」
そして勇者の目論見通り、魔女の動きが一瞬止まりました。
「む。これはイケるか?」
「ふあっ!?」
勇者は黒鍵騎士の尻尾を乱暴に掴んでから股間がわから飛び出させます。
股の間から尻尾がでてきている感じですね。
絵的にアレすぎますが、しかしあくまでも尻尾です。
場所が問題でもあくまで尻尾です。
股間部にあるゆらゆらゆれるもふもふ尻尾。
「もふ……」
魔女の視線がもふもふ尻尾へと注がれます。
「もふーっ!」
「ふあああああっ!!??」
そして魔女は黒鍵騎士の股間部へと突撃しました。
新たなる惨劇の始まり、みたいな?




