極悪言うなーっ!
魔女の援護射撃&にゃんこと忍者のコンビネーションにより、劣勢に追い込まれていた魔王&勇者タッグですが、しかしそこはやはり世界最強コンビ。
やられてばかりではありません。
「これでもくらえ! 石化の波!」
魔王は片手を突き出して魔法を繰り出します。
石化魔法のようですが、本当に石になるわけではなく、石のように身体の動きが固まってしまう魔法でした。
「にゃうっ!」
「うあっ!」
にゃんこと忍者は一瞬で動きを止められてしまいました。
「しまった~」
そして魔女はちゃっかり防いでいます。
魔女の衣服が防御力に優れた特別製なので、生半可な魔法は通じません。
もちろん対物防御力にも優れていますから物理攻撃も防いでくれます。
「く。やっぱり魔女には通じぬか」
魔王が悔しそうに舌打ちをします。
「当たり前だろ。だって魔女だぞ」
「それもそうか。外見はともかく中身と実力はこの上なく極悪だったな」
魔女に対して一定の共通認識を持つ二人はうんうんと頷き合いました。
「極悪言うなーっ!」
そして地獄耳な魔女は怒り混じりに石化解除の魔法をにゃんこと忍者に向かって放出します。
さすが魔女の魔法。すぐに動けるようになった二人は戦闘を再開します。
「はっ!」
忍者は右手に持った忍者刀から繰り出す連続突きを勇者に喰らわせています。
いつもは十連続がいいところなのですが、今回はドーピングにより高められた体力のお陰で百連続はいけています。
そしてそれだけ攻撃が続いているお陰で勇者の方も反撃のチャンスを掴めないでいるのです。
「いける! これならいける!」
そんな勇者の焦りを見抜いたのか、忍者は心の中でガッツポーズを決めます。
「今日こそ! 今日こそ師匠を食べるっす!」
「って俺が受けかーっ!?」
「当たり前っすよ! 息子の先から新世界の●●まで食べ尽くしてやるから覚悟するっすーっ!」
「嫌だーっ!!」
まさかの危険発言に勇者が悲鳴を上げてしまいました。
折角惚れてくれているんだし一晩ぐらいは付き合ってもいいかなと思いかけていたのが一気に霧散しました。
冗談ではありません。
食べるのは大好きですが食べられるのは大嫌いです。
ましてや新世界など覗きたくもありません。
勇者は何がなんでも勝つつもりで決意を固めるのでした。




