痛し痒し
「じゃあ前衛は忍者とにゃんこ。私が後衛でばんばん魔法を放つから」
「それが妥当っすね」
「ぼくはなにをすればいいの~?」
「上目遣いで涙目で勇者を見つめながら攻撃してくれればオッケー」
「わかった~」
「あ、これは小道具ね」
「ん」
そう言って魔女はにゃんこに小道具を渡します。
魔女特製目薬です。
これを点眼すればうるうる瞳でノックアウト確実です。
もふもふにゃんこに弱い勇者には効果抜群でしょう。
「忍者にはこれ」
「なんっすかこれ」
「強化ポーション。身体能力が全体的に強化されるから、これを飲んでおけば戦術スキルはともかくとして戦闘スキルでは遅れを取らないと思う。効果は一時間ぐらいだけど」
「マジっすか」
「マジマジ」
「遠慮なくいただくっす」
ごっきゅごっきゅと飲み干します。
ドーピングもいいところですが、相手が魔王&勇者というチートタッグなので、これぐらいは卑怯でも何でもありません。
魔王と勇者が何か言いたげに魔女の方を見ていますが、勿論ガン無視です。
大体、ドーピングというなら魔王だってショタ美少年もふもふになっているのですから文句を言われる筋合いは最初からないのです。
ここで文句を言うつもりなら強制的に変身を解除させる腹積もりでいます。
魔王もそれが解っているからこそ何も言えないのです。
痛し痒しですね。
「さあ行くよ!」
「おー!」
「にゃー!」
魔女がリーダーシップを発揮して前衛二人に気合を入れます。
気合いが入ったところで黒鍵騎士が右手を振り上げます。
「ではいざ尋常に、はじめ!」
そして戦いの火蓋は切って落とされたのです。




