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置いていかないでっ

 今日の魔女はお出かけです。

「おるすばん……?」

 お出かけ準備をする魔女ににゃんこは首を傾げます。

「そ。お留守番。スカルくんたちと一緒にね」

「ますたぁはどこにいくの?」

「ちょっとドワーフの村まで行ってくる。杖を作ってもらうためにね」

 せっかくオリハルコン鉱石を手に入れたのですから、専用の杖を作ってもらいたいと思ったのは当然でしょう。

 スカルくんがにゃんこを拾ってきたお陰で先送りになっていましたが、やはり材料が手元にある以上杖の製作は一刻も早く行いたいものです。


 オリハルコンの杖!

 伝説級の武器!

 ファンタジー満載!

 そりゃあもう早くこの目で見たいとワクワクしています。

 装備を調えなければ、などという現実的な思考よりも好奇心の方が上回っています。

 更に言うなら白銀龍から教えて貰ったドワーフの村というのは、地下都市のようです。


 地下都市!

 それを聞いただけで好奇心が再び疼きます。

 一刻も早くこの目で見てみたいのです。


「とゆーわけで、お留守番よろしくね、にゃんこ。三日ほどで帰ってくると思うから。ご飯は適当に食べておいて」

 魔女はにゃんこの頭を撫でてから出て行こうとします。

「………………」

 しかしにゃんこは魔女の服を握ったまま離しません。

「にゃんこ? 動けないよ」

「ぼくもいきたい」

「え?」

「ぼくもますたぁといっしょにいきたいっ!」

「え~……」

 しがみついて離してくれないにゃんこに、魔女は困ってしまいます。

「にゃんこはまだ外に出るのは危ないと思うんだけどなぁ」

「だいじょぶ! ぼくちゃんとまいにちしゅぎょうしてるもん!」

 修行と言ってもまだちゃんばらごっこの域を出ていません。当然、実戦で通用するわけがないのですが。

「ぼくもいくの~っ!」

「うっ……」

 うりゅりゅりゅ~、とつぶらな涙目で見上げられると弱いのです。

 可愛さにめげてしまいそうになります。

「お、おみやげ買ってきてあげるから、ね?」

「おみやげよりもますたぁといっしょがいいっ!」

「ぐはっ!」

 なんという萌え台詞を吐くのでしょうこのにゃんこ。

「いっしょにいくぅ!」

「うがっ!」

 すりすりされて尻尾をぴこぴこされてはもう辛抱たまりません。

「あーもう、可愛いぞこんちきしょーっ!」

 がばっとにゃんこを抱き締めた魔女は、結局連れて行くことに決定しました。

「えへへ~。ますたぁありがと~」

「くあぁ、もうそれ反則だぞう!」

 頬にすりすりされた魔女はすっかりにゃんこにデレています。

 やはり可愛いというのは世界最強の交渉術のようです。


 こうして、魔女とにゃんこの小旅行が始まるのでした。


「。・゜゜・(>_<;)・゜゜・。」

 そして魔女とにゃんこに置いてけぼりにされたスカルくんたちはひっそりと涙するのでした。

 魔女はともかくとして可愛いにゃんこを連れて行かれたのがとても寂しかったのです。


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