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おっさんとのエロ展開はお断り

「ところで」

 魔女と魔王の醜い言い争いが一段落してから、魔王が切り出しました。

 どうしても放置できない問題があったからです。

「魔女は今回魔王城の結界をすり抜けてきただろう? 一体どうやったんだ?」

 鉄壁の魔王城結界を無効化できるのは黒鍵騎士の持つ黒鍵のみです。

 もちろん結界の強度を超える大出力ぶつければその限りではありませんが、魔女は今回黒鍵の機能と同じようにすり抜けてきたのです。

 魔王としてはどうしても問いかけずにはいられません。

「簡単だよ。黒鍵騎士の持つ黒鍵を解析しただけだもん。能力が分かれば同じ魔法を創り出すのに苦労しないし。っていうか今回は転移魔法に結界無効化を織り込んだからね。手間を省いた」

「……いつの間にそんな解析作業を。黒鍵騎士。まさか魔女にその黒鍵を貸し出したりしたのか?」

 魔王が若干厳しい視線を黒鍵騎士に向けます。

「とんでもない。肌身離さず持っていますよ。そもそもこの黒鍵は所有者から離れてもすぐに戻ってくるじゃないですか!」

 黒鍵騎士は心外だというように鼻を鳴らしました。ちょっと怒っているようです。

「だよな。ならば一体どうやって」

「簡単だよ。黒鍵騎士にもふもふしているあいだに黒鍵の解析調査も同時進行していたんだよ」

「………………」

 研究・解析能力においてはずば抜けている魔女ならではの行いでした。

 しかもその際ももふもふが最優先であり解析作業はあくまでもついでだったに違いありません。

「まあ、他の人間なら大問題だが魔女が相手なら気にすることもないのだろうな」

 あくまでもふもふが目的なのだろうし、と魔王が呟きます。

「その通り。いつでもどこでも黒鍵騎士をもふもふするために結界無効化魔法を編み出したんだから問題なっしんぐ!」

「……その理由は私にとって何の慰めにもなっていませんけどね」

 がっくりとうなだれる黒鍵騎士でした。

「まあいつでもどこでも現れるというのなら魔女の部屋も用意してやろうか? そうすれば訪れる回数も増えるだろうし」

「いいの?」

「ああ。広い城だからどうせ部屋は余っている」

「じゃあお言葉に甘えちゃおうかな。あ、にゃんこと一緒に寝るからベッドは大きいのでよろしくね」

「なんなら余の部屋に泊まってくれてもいいぞ」

「やだよ。おっさんとのエロ展開とかマジお断り」

「魔女が望むなら若返りの魔法を使うが」

「若返りよりももふもふがいい」

 そう言って魔女は黒鍵騎士に抱きつきます。

 右手では黒鍵騎士の尻尾をもふもふしています。

「おのれ……」

 恨みがましそうな目を自らの側近に向ける魔王なのでした。


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