正しい包丁の使い方
魔女は大喜びでお赤飯を炊いた魔女はテーブルの上にその他のご馳走も並べ始めました。
赤飯を初めとして、フライドチキンに鯛の塩焼き、お刺身などもあります。
もちろんデザートにイチゴケーキも用意しています。
今日はにゃんこの夢●祝いなのですから!
……どうしようもない祝いのような気がする方はどうかスルーしてくださいな。
「どうしてきょうはごちそうなの~?」
「お祝い事だからだよ~」
るんるんと魔女はご機嫌です。
ベッドの上で大笑いさせて貰ったので、今度はにゃんこにご馳走を振る舞ってあげるつもりなのです。
「にゃんこはぱんつを洗っておいで」
「うん。わかった」
汚したぱんつは自分で洗いましょう~。
その間にも魔女はうきうき顔でご馳走準備を続けています。
にゃんこが外に出てから十分ほど経過した頃、
「うお! いい匂いがする!」
勇者がやってきました。
「って、あんた飯たかりにきたんかい!」
こんにちはとかお邪魔しますとか他に言うことがあるだろうが! と手に持っていた包丁を勇者に投げつける魔女でした。
危ないのでよい子は真似をしてはいけません。
悪い子も真似をしてはいけません。
「うおっ! 危ねえっ!」
ぱしっと指二本で受けとめる辺りさすが勇者ですね。
「ちっ!」
「舌打ちすんなーっ! あと包丁は他人様に投げつけるものじゃない。使い方を間違えるな!」
「む。そうだった。確かに包丁は他人様に投げつけるものじゃないね」
「分かればいいんだ分かれば」
「包丁は他人様の首筋にぺたぺた当てて脅迫する道具だった」
「違う!」
どちらにしても物騒極まりない認識でした。
「で、勇者はタダ飯を食いに来たの?」
「ああ。今日は魔女の家でうまいものを食えそうな予感がしたからな」
「……何その予知能力」
「本物だぞ。百年ぐらい前に予知の神ミーシャから授かった」
「なんてお手軽な神能力!」
「犬の散歩の報酬だったんだけどな」
「しかも依頼内容がしょぼいしっ!」
「犬っつっても神様の眷属だから結構偉い犬らしいぞ」
「勇者にお手軽散歩させられているあたりちっとも偉くなさそう!」
「お手もお座りもきちんと出来た。よく躾けられた犬だった」
「……神様の眷属イメージが一気にマイナス化したよ」
魔女は脱力しつつも、いつものことという感じで勇者を招き入れるのでした。




