流星キック!
魔女の家は今日も平和でした。
今日もという言葉は正しいかどうか分かりませんが『平和』の基準を一般からずらしてしまえばそれは正しいと表現しても問題ないのではないでしょうか。
スカルくんは仕事します。
いつも通りにこき使われています。
魔女は家でのんびりと読書をしています。
最近はBL小説に嵌っているようです。
探してみれば異世界にもありましたよBL小説。
腐った女子の発生率は世界共通ということですね。
にゃんこはスカルくんを相手に新技の練習をしていました。
「いっくよ~!」
「((((;≡д≡;i))))ヵ゛タヵ゛タ㌦㌦...」
怯えるスカルくん。
わくわくのにゃんこ。
にゃんこは助走をつけてから足に魔力を集中させました。
そして大きく飛び跳ねてからスカルくんに向かって蹴りを放ちます。
「りゅーせーきーっくっ!」
「ギャアァァァァ━━━━━━(|||゜Д゜)━━━━━━!!!!!!」
虹色の魔力を纏わせた跳び蹴りを喰らったスカルくんは見事に砕け散りました。
分解されたのではなく砕け散ったのです。
流星キック。
魔女の入れ知恵により新しく開発した新技です。
にゃんぱんちよりも凶悪かもしれません。
「( ノω-、)クスン」
しかし砕け散ったスカルくんはすぐに復元しました。
魔女がにゃんこの特訓用にあらかじめ復元魔法をかけておいたのです。
しかしいくら復元魔法をかけられたからといって、自分が凶悪な技で砕け散らされてしまうのは耐え難いものがあります。
スカルくんとしては鬱病になってしまいそうなぐらい深刻な問題です。
「だいじょーぶ?」
「┣¨キ(〃゜3゜〃)┣¨キ」
しかしにゃんこの上目遣いを見ることが出来ればそんなものはすぐに回復してしまいます。
単純なのです。
というか馬鹿ですね。
こうして今日も新しい犠牲骨を出していくにゃんこなのでした。
「………………」
しかしそんなスカルくん虐待光景を良しとしない存在がありました。
茂みに隠れてその様子を眺めていたのは、
「許せん……」
骨でした。
スカルくんと種族的には同じかと思われますが、しかし顔文字ではなく言葉で喋っています。
そして骨の身体で基本的には服ナッシング、つまりはラ族であるスカルくんと違って、この骨は服を着ています。
しかもやたら豪華です。
そして紅いマントを羽織って、王冠までかぶっています。
「許すまじ……」
さて、彼は一体誰なのでしょう?




