めざせロリ卒業!
弟子を取るつもりなどもともと無かった魔女ですから、師匠といってもアドバイザー的な役割しかこなせません。
「人にものを教えるって柄でもないからね。授業はしないよ。質問に答えていくって形になるけどいいよね」
魔女とテーブルを囲みながら弟子一号は頷きました。
ちなみにテーブルの上には魔女お手製のピザがあります。
とても美味しいです。
「さっきの時間魔法を教えて欲しい」
さっそく弟子一号は言いました。
「ん。ちょっと待ってて」
魔女は立ち上がってから書斎の方に向かいます。
先代魔女の残した書物の中から時間魔法に関するものを取り出してから弟子一号に渡してあげました。
「とりあえず時間魔法に関する情報がこの中にある。あとは自分で調べなさい」
「うわ。これすっごく貴重なものじゃん! 借りていいの?」
「いいよ。私はもう覚えたしね」
「っていうか難しっ!」
ぱらぱらと本の中身を開いてから絶句する弟子一号でした。
内容はとても難解なようです。
「さっきのは体感時間を誤魔化す魔法だったけど、もう少し高度なものになると、肉体における時間加速とか、老化の停滞が可能になる時間停止とかも出来るようになるよ」
「時間停止! 永遠の魔法少女!」
「あ、そこに萌えるんだ。分かる気がするけど」
ちなみに先代魔女は時間魔法を会得できませんでした。
書物はあっても不向きだったようです。
魔女は会得しています。
書物から情報を読み解いて、さらに自分で研究を進めて、時間魔法を完成させています、
ただし老化の停滞に関しては使うかどうか悩みどころです。
歳を取らないのは魅力的ですが、もう少し成長してから使いたいというのが本音です。
もうちょっとナイスバディになりたいのです。
目指せロリ卒業!
魔王に知られたら土下座してでも阻止されそうな話ですね。
「仮にも少し前までは一人前を名乗っていたんだから、そこから先は自分で何とかしなさい。分からないことがあったらまずは自分で調べる。どうしても行き詰まったときはここに来ていいから。質問ひとつにつきいちもふもふね」
「………………」
高い授業料でした。
いちもふもふというよりはいちセクハラと表現する方が正しいかもしれません。
「が、頑張るわ! なるべくもふもふされないように!」
弟子一号は貞操の危機を感じつつ、借りた書物を手に自宅へと戻っていくのでした。




