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あ●ぱんちじゃないよ

「っつ~! やるわね使い魔!」

「えへへ。ますたぁにいいとこみせたいもん。だからがんばる」

 にゃんこ、ますたぁの前で張り切っています。

 耳がぴこぴこ尻尾がふりふりです。

 犬のようにふりふりしています。

「にゃんこ。アレやってみてよ」

 そして魔女がにゃんこに指示を出します。

「あれってなに?」

 にゃんこが首を傾げつつ考えます。

「この前教えたあのぱんちだよ」

「にゃ~……あ、わかった。あれだね?」

「そうそう。アレをいっちょかましてやってちょーだい」

「うみゅ。でもだいじょーぶかな? あんまりおおけがさせたくないんだけど……」

 にゃんこがシロの方を心配そうに眺めています。

 どうやらこの状況で相手を気遣う余裕があるようです。

 その余裕こそがシロにとっては屈辱であり、カッと頭に血が昇ってしまいました。

「う、受けて立ってやるわよ! そのアレとやらをかましてみなさい!」

「にゃ……ほんとにあぶないんだよ?」

「ば、馬鹿にするんじゃない!」

「うみゅ。わかった。じゃあやってみるね」

 にゃんこはちょっと迷いましたが右の拳に魔力を凝縮します。

「へ……?」

 その凶悪な魔力にシロが怯みます。

 にゃんこが危ないと言ったのは誇張でも何でもなく事実だったようです。

 あの右拳でパンチを繰り出されたらシロの身体が爆散しかねません。

 ドS魔女っ娘セクハラノベルから肉片飛び散るホラーノベルになりそうな展開です。

「ぎゃーっ! ぼ、防御! シールド展開全魔力充填―っ!!」

 しかしシロにもプライドがありますからここでやっぱりやめてくれとは言えません。

 難儀な性格です。

 大人しく謝ればまだ無事で済むんですけどね。

 とにかく生き残るのが最優先ということで全魔力を防御に充てます。

 それでも確率は五分五分ですが。

 というかそんな凶悪な技を半人前魔女にぶつけるなって感じですけどね。

「いっくよーっ!」

 にゃんこが右腕を振り回して力を溜めています。

 そのままシロへと突っ込んでいき、

「にゃ~んぱ~んちっ!」

「きゃああああああっっっっ!!」

 にゃんぱんちによってフォリスの街まで吹っ飛ばされてしまいました。

「あ、やりすぎちゃった?」

 にゃんこが気まずそうに飛ばされていったシロを眺めています。

 一応、生きているようなので良しとしましょう。




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