弟子入り志願
「弟子にしてくださいっ!」
「断る!」
「………………」
「………………」
実力差を思い知ったシロが身の程を弁えた上で弟子入り志願をしてきました。
どこかの巨乳魔王が童貞勇者に所有権を申し出たときの即答拒絶なみに一刀両断で断る魔女でした。
この我の師匠となれ!
断る!
……みたいな?
「即答することないでしょ!」
「即答するよ。弟子とかちょー面倒臭そうだし」
「死しょーって呼ばせて」
「断るっ!」
文字が酷いですね。
「弟子にしてくれるまで帰らないもん!」
「帰れ」
蹴り一発で追い出しました。
マンガのようにシロがぽぽい、と放り出されます。
酷すぎる扱いです。
「まったく。ライバルみたいな登場をしてきたかと思ったら、今度は弟子入り志願なんて、滅茶苦茶な新キャラだよね」
「だね~。でもますたぁもでしはほしくないの?」
「弟子は要らない。使い魔がいればオッケー」
「にゃう~」
にゃんこを膝に載せてお尻をなでなでします。
尻尾もいっしょにもふもふします。
もふもふ目的なのかセクハラ目的なのか。
それとも両方なのか。
……両方っぽいですね。
「ししょ~ってよばれたくない?」
「死しょ~は嫌だな」
「そっか~」
「そうだよ」
それ以降、弟子入り志願のシロの事は頭から抜けてしまいました。
魔女にとってはどうでもいい出来事だったようです。
二時間後……
「………………」
「………………」
外の菜園に用事があったので外に出た魔女が見たものは、壁に寄りかかってすんすんと泣いているシロの姿でした。
どうやらまだ帰っていなかったようです。
「マジで帰らないつもりなわけ……?」
げんなりとしてしまう魔女でした。




