原因解明だ! 舞台へれっつらごー!
「つまりあなたがハーフであることが原因だと思うわけよ」
ハーフ少女の歌が音痴であることの理屈として、魔女はそんな考察をしてくれました。
人間の歌を歌うときには天上の歌声になってくれる理由にも説明がついてしまう素晴らしい理屈です。
「どういうことですか?」
ハーフ少女は首を傾げます。
自分の秘密ですから興味津々です。是非とも知っておきたいと思っています。
「だから、あなたの身体は……というか恐らく性質は、セイレーンよりも人間寄りってことだと思うのよ。セイレーンの歌を紡ぐにはセイレーンの性質が必要になる。歌と性質が合わさることによって引きつけられる魔性が生まれる」
「なるほど」
「だからセイレーンの性質が弱いあなたにはセイレーンの歌は向いていない。むしろド音痴の騒音効果でしかなくなる」
「………………」
「でも人間の歌は別だね。元々は祝福された歌声を持つセイレーンの性質を引き継いでいるから、歌そのものは優れている。セイレーンではなく人間の歌を紡ぐことによってあなたの性能は最大限に発揮されるってこと」
「じゃあわたしはこれから人間の歌をベースにしていけばいいんですか?」
「そういうことだね。ハーフだからってセイレーンの歌に拘りすぎたのが敗因ってゆーか。あれだけ綺麗に歌えるんだから人間の歌でも十分でしょ」
「それはもちろん。歌うことさえ出来ればわたしは満足ですから」
ハーフ少女は頷きました。
「よし。じゃあ食堂に簡易舞台があったからそこで歌っちゃえ」
「ええっ!?」
いきなりの展開にビックリするハーフ少女です。
「何怖じ気づいてんのよ。歌で生きるって決めたんでしょ? 今から人前に出る努力をしないでどうするのさ!」
「それはそうですが心の準備ってゆーか……」
「人生はいつだって行き当たりばったりが基本!」
「えー……準備できるときは準備をするべきだと思うんですけどぉ……」
気弱なハーフ少女は涙目で首を振ります。
さっきまで散々音痴呼ばわりされていたのでいきなり人前で歌う自信がないようです。
無理もありません。
「いいからいいから。そろそろ食事時だし。さあれっつらごー。にゃんこ、その子引き摺ってきて~」
「うん。わかった~」
修行を積んだにゃんこは見た目に反して腕力があります。
少女一人を引き摺ることぐらい昼飯前の酒の子さいさいです。
「うわーんっ!」
悩みが一つ解決されたと思った矢先に新しい悩みをぶつけられたハーフ少女は、涙目のまま食堂へと引き摺られていくのでした。
魔女っ娘の世界をより一層楽しめる!……かもしれない設定ページ「さなぎマテリアル」を始めました。
裏話や意外な設定があったりなかったり。
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