魔女から教わる恋の歌
遥かなる風 とこしえに
あなたが私を求めるのなら いつでもそばに駆けつけましょう
私はあなたの風となり あなたと共にありましょう
「………………」
「………………」
ハーフ少女は歌います。
セイレーンではなく人間の歌を。
青年への愛を綴った恋の歌を歌います。
ちなみにこの歌は魔女がハーフ少女に教えてあげました。
夢見る乙女の恋物語。
そんな歌が世界一似合わない魔女ですが、そんな歌を聴くのは好きだったりします。
そしてハーフ少女が紡いでいく恋の歌ですが、
「うまい……」
「うまいねぇ」
さっきまでの音痴が嘘のような声でした。
声も音もばっちりであり、セイレーンの名に相応しい天上の歌声でした。
傍にいます あなたと手を繋ぎ続けます
同じ道を歩きましょう
同じ未来へ向かいましょう
「……えっと……どうですか?」
歌い終わったハーフ少女はビクビクしながら魔女とにゃんこを見つめます。
判定待ちの容疑者気分です。
「すっごく上手だったと思うよ」
「ホントですか!?」
正直な感想を漏らした魔女にハーフ少女は表情を輝かせます。
「うん。じょ~ずだったよ」
にゃんこも同意しました。
「えへへ」
今度は照れ照れな表情になりました。
歌って褒められたことは初めてなので免疫がないのかもしれません。とにかく喜んでいることは確かなのでハッピー展開です。
「ふむふむ。つまりセイレーンの歌を歌うときはド音痴でしかないけど、人間の歌を歌うときはセイレーンに相応しく素晴らしい歌になるってことね」
「ド音痴って……」
褒めたと思ったら今まで以上に貶してくる魔女にどんよりしてしまうハーフ少女でした。
ドまで付ける必要が果たしてあったのでしょうか?
「どうしてだろうね~?」
ド音痴を無視してにゃんこも首を傾げます。
音痴はある意味解消されましたが、謎だけは残るのでした。
魔女っ娘の世界をより一層楽しめる!……かもしれない設定ページ「さなぎマテリアル」を始めました。
裏話や意外な設定があったりなかったり。
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