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ますたぁなみに……

「ますたぁ、うたがきこえるよ」

 にゃんこは耳をぴこぴこさせながら言いました。

「え? マジで!? じゃあセイレーンがどっかにいるってことかな」

「ううん。ちがうとおもう」

「違うって何で分かるの?」

「だっておんちだもん」

「………………」

「ますたぁなみにおんちだもん。だからせいれ~んじゃないとおもう」

「にゃんこ……」

「ふみゃああああっ!?」

 声を低くした魔女がにゃんこの尻尾を引っ張りました。

 もふもふ目的ではなくお仕置き目的で引っ張りました。

「い、いたいいたいいたいぃぃぃ!」

 尻尾を握られたままじたばたと暴れるにゃんこは涙目で叫び続けます。というか泣いています。にゃんこが魔女に虐められています。

「ねえ、にゃんこ。もう一回言ってくれるかな? 誰並におんちだって?」

「ごごごごごめんにゃさいぃぃぃ! ま、ますたぁはおんちじゃないよ! おんちじゃないからゆるしてぇぇぇぇぇっ!」

 禁句を漏らしてしまった事に気付いたにゃんこはとにかく必死で謝ります。

 ますたぁに音痴は禁句だということを改めて深層心理に刻みつけながら、とにかく許しを請います。

 にゃんこに甘々な魔女がここまで怒るのですからこれは相当なものです。

「分かればよろしい」

 魔女はにゃんこの尻尾から手を離して許してくれました。

「うみゅ~……」

 じんじんする尻尾をなでなでとさすりながらにゃんこは涙を拭います。

「で、どこから聞こえるの?」

 音痴な歌声は魔女には聞こえないようです。

「ええとね、あっちのほうからだよ」

 にゃんこは船の後方を指さしました。

 魔女とにゃんこが今いるのは船の先頭縁であり、にゃんこが指を差したのは船の最後方縁でした。

 どうやら真逆の場所で歌っているようです。

「他には誰かいる?」

「いないみたい」

「んじゃあ行ってみようか」

「いくの? でもせいれ~んじゃないんでしょ?」

「まあ音痴っていうんなら違うと思うけど、でもそんな音痴な歌を船の上で歌う人の顔ってちょっと見てみたいじゃない」

「………………」

 趣味が悪いとにゃんこは思いましたが賢明にも口を噤みました。

 そして音痴に関しては人のことを言えないと思うというのも口を噤みました。



魔女っ娘の世界をより一層楽しめる!……かもしれない設定ページ「さなぎマテリアル」を始めました。

裏話や意外な設定があったりなかったり。

アルファポリス雑学趣味大賞にエントリー中です。

気が向いたら投票してくれるととっても喜びます(^o^)

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