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パンがなければ……

「と、まあこんな感じなんだけどな」

 勇者は気まずそうに頭を掻きながら過去の自分を振り返っていました。

「っていうか全然勇者じゃないよね。世界とか救ってないし。魔王と密約交わして偽物征伐に利用されただけってゆーか」

 魔女は昔話を終えた勇者に対してちょっぴり呆れた視線を向けています。

「うるさいな! 結果オーライなんだよ!」

「あと人間の王達に兵器利用されそうになったからって何も逃げ出さなくてもいいじゃんか」

「だってめんどくせーじゃん!」

「めんどくさいけどさ。滅ぼしちゃえばよかったのに。後腐れなく」

 とんでもないことをさらりと言う魔女でした。

 どっちが魔王なんだか分かりません。

「……いっそ次世代魔王は魔女が即位した方がいいんじゃないだろうか」

「確かに。余よりもよほど向いている気がするぞ。性格的に」

「パンがないなら内臓を食べればいいのに」

「地獄絵図! 圧政通り越して獄政!!」

 マリー・アントワネットが慈悲深き聖母に思えてくるような発言です。勇者も震え上がる獄政が待っていそうです。

 にゃんこが起きていたらさすがに魔女への認識が変わったかもしれません。

「にゃう~……」

 こたつで熟睡中でよかったですね。

 そして魔女はそんなにゃんこの尻尾を右手でもふもふしています。

「もっふもふ~♪」

 そして左手では黒鍵騎士の尻尾をもふもふ中です。

 両手に花ではなく尻尾。素晴らしきもふもふタイムです。

「あ、そうだ。もう一つ疑問があった」

「何だ?」

「とりあえず勇者が魔王と密約を交わして世界を救った振りをした外道野郎だってことは分かったんだけど」

「そんなこと分かるな!」

 間違ってはいませんが認識が悪意で満ち溢れています。

「勇者が魔王とロリぼいん密約を交わしてぼいんの為に世界を救う振りをした女ったらし野郎だってことは分かったんだけど」

「言い直したら余計に酷くなった!」

 訂正を求めれば更なる悪意を上乗せされて戻ってくる。

 魔女との会話は常に傷口を抉られるものでした。

 勇者にはまだまだ覚悟が足りません。

 でも基本的には必要のない覚悟だったりします。

「フォリスの街にいる騎士団長のござる喋りとかは勇者が広めたってことになってるんだよね。でも昔話を聞く限りそんなこともなさそうだし。勇者って普通の喋り方だったじゃん。ポニーテイルと日本刀と着物はそのまんまだけど。これってどういうこと?」

「あー……それは……」

 何故か気まずそうに頭を掻く勇者でした。

 非常に言いにくい事情のようです。

 そしてそんな事情こそ魔女は見逃してくれません。



魔女っ娘の世界をより一層楽しめる!……かもしれない設定ページ「さなぎマテリアル」を始めました。

裏話や意外な設定があったりなかったり。

アルファポリス雑学趣味大賞にエントリー中です。

気が向いたら投票してくれるととっても喜びます(^o^)

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