勇者語り21 Final!
「おめでとー!」
「いえーい!」
魔王は反乱分子を壊滅させて、勇者は建前上の魔王を倒して表向きの平和を取り戻しました。
カルラド大陸側にも魔王が勇者の手によって倒されたと偽情報が伝わっていることですし、これでひとまず安心して勇者引退が出来るというものです。
勇者と魔王はハイタッチで目的達成をお祝いします。
世界が表向き救われた裏側でこのようなことが行われているのですから色々と残念な舞台裏でした。
「………………」
そんな残念な二人を黒鍵騎士は無言で見守ります。
突っ込みたいことも文句を言いたいことも色々あるようですが、魔王陛下の忠実な部下らしく余計な行動は慎んでいます。
部下の鏡です。
「勇者の新居は月詠の里に用意しておいた。人間側とのごたごたが終わったらいつでも引っ越してくるといい」
「おう! さんきゅーなっ! ところで魔王」
「なんだ勇者」
「はっきりさせておきたいことがある」
「うむ。言ってみるがよい」
「これはある意味今までの戦争よりも重要なことだ」
「だろうな。顔を見れば分かる」
今までにないほど真剣な勇者の表情でした。
「俺の新居、近所に美人はいるのか!?」
「ばっちりぼいんの美女がざっと六人は住んでいる。そのあたりは抜かり無しだ」
「魔王サイコー!」
「はっはっは! それほどでもある!」
「………………」
黒鍵騎士の忍耐力はこの二人に鍛えられたのかもしれません。
戦争よりも重要なこと。
今までにないほど真剣な表情で問い詰めたことがその内容です。
この魔王にしてこの勇者あり、みたいな?
片やロリ趣味、片やぼいん趣味。
一歩間違えば戦争が起こりそうなほど正反対な二人ですが、一歩踏み外せばとても仲良くやれてしまうという不思議な法則です。
お互いの趣味は相容れなくともお互いのことは受け入れられます。
魔王と勇者は末永く仲良くやっていくのでした。
その後は勇者がカルラド大陸に戻ってレヴェンス王と勇者の兵器利用を巡って一波乱も二波乱もあったのですが、そこはもう勇者チートでぶっちぎりました。
表向きは世界を救った勇者様。
裏側は魔王と密約を交わした裏切り者。
真実はただの女ったらしのぼいん趣味。
怒り狂ったレヴェンス王から賞金を賭けられつつも、しばらくは月詠の里で平穏無事にお姉さん達と仲良く暮らしたりしていました。
戦神クライストからは表向きの平和を取り戻した褒賞と、元の世界に戻れないことの謝罪として不老不死をもらったり、色々便利な能力や寿命チートが付加されたりもしています。
勇者の物語はひとまずお終いです。
歴史から姿を消した勇者は、その後魔女と出会うのでした。
魔女っ娘の世界をより一層楽しめる!……かもしれない設定ページ「さなぎマテリアル」を始めました。
裏話や意外な設定があったりなかったり。
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