勇者語り20
「勇者ぱーんちっ!」
どっかーん!
「勇者きーっく!」
どごごーんっ!
「勇者えるぼーっ!」
ぐっしゃーんっ!
魔王との密約(?)もとい悪巧みを進めた勇者は早速新生魔王を退治しに行ってしまいました。
群がる雑魚をばったばったと薙ぎ倒す勇者無双再びです。
でも掛け声で色々なものが台無しになっています。
そんな掛け声で無双ぶっ飛ばされる雑魚達はとても可哀想です。
というか勇者なんですから格好良く剣とか使いながら技を決めて欲しいところです。
「ええと、じゃあエクス……」
いやいや、それは著作権的にも時系列的にも不味いですから。
「えー。必殺技としては最強無敵っぽいのに……」
確かに最強無敵ですけど。
でも著作権とか時系列とかも大事なんです。
「それもそうか。じゃあ勇者必殺ぼいん剣!」
……趣味がだだ漏れです。
魔王ならきっと『魔王必殺ちっぱい光線!』とか出しそうです。
「くっ! あのロリコン魔王め……勇者と手を組みやがったのか? ふざけるなよ、魔族の面汚しが……!」
『勇者必殺ぼいん剣』に半殺し状態にされてしまったとてもとてもとても可哀想な新生魔王は、片膝をつきながら勇者を睨みつけています。
この状況が魔王との悪巧みによるものだと見抜いているようです。
「いやあ、まああいつがロリコン魔王なのも、ある意味において魔族の面汚しであることも認めるんだけどさ~」
勇者もそのあたりはしっかりと同意しています。
というか否定する要素が見つかりません。
残念魔王トークで盛り上がりたいぐらいです。
敵同士とか忘れそうです。
「俺も俺で勇者なんて面倒な役割はさっさと引退したいわけよ。ましてや人間側の兵器にされるとかまっぴらご免だしな。つーわけでいっちょ死んでくれや♪」
そんな理由で雑魚のように殺される新生魔王にとっては迷惑な話ですが、勇者にとっては全ての理由がそれで完結してしまいます。
駄目な魔王には駄目な勇者が同盟者になり得てしまうのです。
駄目な者同士が手を組むことで平和が訪れたりするのです。
世界の裏側はとても残念な裏事情で構成されています。
「む……無念……」
非常に残念な意味合いで呟いたであろうその言葉は、勇者の耳にしっかりと残りました。
倒した相手の末期の台詞ですから三秒は覚えてあげました。
そして三秒後には忘れてしまいました。
勇者はとても酷い人間です。
魔女っ娘の世界をより一層楽しめる!……かもしれない設定ページ「さなぎマテリアル」を始めました。
裏話や意外な設定があったりなかったり。
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