勇者語り18
「おはよう! 昨日は心配かけたな! 俺はすっかり元気だぜ!」
「………………」
朝起きたら居酒屋から魔王城の来客用寝室でしたが、美女を三人侍らせていたのが功を奏したのか、勇者は元気百倍、つるてかフェイスで朝の挨拶をしてくれました。
あからさますぎます。
朝からファイトいっぱ……げふんげふん。
「立ち直ったようで何よりだ。美女は堪能できたかな?」
「そりゃあもう~」
うっとりほっこりと表情を緩める勇者です。
ただのエロ野郎です。
美女にちやほやされてもみもみしてちょーご機嫌です。
「………………」
黒鍵騎士はそんな二人を見て、ある意味で似た者同士かもしれないと密かに溜め息をつきました。
「俺はもう人間に味方なんてしないぞ! 魔族のお姉さんとあっはんうっふんするんだ!」
「……どうどう。まずは落ち着こうか。気持ちは分かるがあからさまに裏切るよりは騙した方がリスクが少ない」
「む……そうか。騙すのも手だな。一泡吹かせてやれるし」
「……意外と黒いな」
勇者だからといって正義の心を持っているとは限らないようです。
まあぶっちゃけた話勇者なんてただの称号ですしねぇ。
「とりあえず人間の味方をするフリをしながら、魔族と小競り合いを続けて貰いたい」
「って、いいのかよ。俺が戦ったら犠牲者が出ることは確実だぜ?」
「構わん。元々好戦的な奴らが多いのだ。余の命令を無視して勝手に飛び出していったりする奴もいるしな。そういう奴らは死ぬことも納得済みだ」
「それならいいけど」
「人間側も魔族側も、適度に争っていないと気が済まないのだ」
「魔王も?」
「いや。余はロリ美少女が傍にいれば他はどうでもいい」
「あっそ……」
そんな悲しいことを断言しないで欲しいと突っ込みを入れたくなる勇者でしたが、勇者自身もあまり人のことは言えないと思います。
「じゃあ俺は暴発魔族を適当に粛正していけばいいんだな?」
「そうだ。中でも一番厄介なのは新生魔王を名乗る輩だな」
「……そんな奴がいるのか。つーか謀反じゃねえのそれって?」
「うむ。立派な謀反だ」
「………………」
そんな大それたことをそんなのんびりとした口調で言われても……。
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