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勇者語り17

「兵器……俺ってば都合の良い兵器だったんだ……」

 ずーんと凹んでいる勇者の横で、魔王がぽんぽんと肩を叩きます。

「まあ人間の考えることなど所詮あんなものだ。な? 肩入れするのが馬鹿らしくなるだろう?」

「うん。馬鹿らしくなった」

「まあ元気出せ」

「綺麗なお姉ちゃんにきゃーきゃー言われて頑張って勇者様~とか言われて帰ったらたくさんおっぱい揉ませてあげるとか言われてちょっとうきうき気分で魔族討伐に出てきた当時の俺を殴ってやりたい」

「……仕組まれてるなあ」

 それについては呆れた視線を向ける魔王でした。

 自分も似たようなことをしていますが、こっちはしっかりと最後まで付き合ったので人間達ほど極悪ではありません。

 ですが勇者のアホっぷりにはちょっぴり辟易するのでした。

女に弱いのは勇者のスタンダードモデルですが、それにしたって単純すぎます。

「うわああんっ! もういい! 勇者なんてやめてやるーっ! こっちでお姉ちゃんとうはうはするんだああぁぁぁぁぁっ!」

「ゆ、勇者殿落ち着いて」

「いいからいいから。こう言うときは素直に潰れさせておくのが一番よいのだ」

「は、はあ……」

 ヤケ酒に入り始めた勇者を見ておろおろする黒鍵騎士ですが、魔王は好きにさせてやれとそれを制止します。

 ぐびぐびぐびぐびお酒を呑み続ける勇者をどうどうと落ち着かせながら、魔王はなんだか切ない気持ちになってしまいました。

「……背中をさすってやるのがロリ美少女ならまだしも、なんで男の背中をこうやってなでなでしなければならないのだ」

 ……悩みどころがロクでもないですね。

 さすがロリコン魔王陛下です。

「うぅ……俺の馬鹿ぁ……おっぱいなんて……おっぱいなんて大好きだぁ……」

「………………」

「………………」

 酷い目に遭ってもおっぱいに未練はあるようです。

 魔王もろくでなしですが、勇者も大概アレですね。

「寝所に運んでおきますね」

 黒鍵騎士が勇者を抱え上げました。

「ああ、頼む。ついでに綺麗どころを三人ぐらい侍らせておけ。多分効果覿面だ」

「……了解しました」

 それで効果覿面というのもどうかと思いますが、ともかく黒鍵騎士は魔王陛下の命令に従うのでした。



魔女っ娘の世界をより一層楽しめる!……かもしれない設定ページ「さなぎマテリアル」を始めました。

裏話や意外な設定があったりなかったり。

アルファポリス雑学趣味大賞にエントリー中です。

気が向いたら投票してくれるととっても喜びます(^o^)

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