勇者語り16
水晶玉が映すのはレヴェンス帝国のお城の中でした。
中にはレヴェンス王とその側近達が映っています。
「しかし思いのほか勇者は簡単に行ってくれましたな」
側近がそんな事を言います。
「勇者だからな。人々を守るのが仕事だ。それに強大な力を持っておるのだからそれなりに自信もあるのであろうよ」
「しかしこちらとしては助かりました。魔族の軍勢もかなり蹴散らしてくれているようですし、この調子なら魔王も討伐してくれそうですな」
「もちろん。そうしてくれなければ困る。クラール王国が前回召喚した女勇者はこともあろうに人間を裏切って魔王に懐柔されてしまったからな。今回は男だからよっぽど趣味がアレでないかぎり大丈夫であろうが」
などなどレヴェンス王がのたまいます。
一方、中継を観察中の勇者と魔王は、
「って、誰がアレな趣味だ! 俺に男とらぶらぶする趣味はねえぞ気持ち悪い!」
「そうだそうだ! 余はロリ美少女が好きなのであってこんなむさ苦しい男とらぶらぶするつもりなんぞ全くこれっぽっちも無いぞ! それでは変態ではないか!」
二人で文句言いたい放題でした。
まあ同性愛者扱いされ書けてしまえば当然の反応ですが、勇者はともかくとして魔王陛下、貴方は今でも立派な変態です。
そして視点はレヴェンス帝国に戻ります。
「勇者殿が魔王を倒して帰還した場合は如何なさいますか? 元の世界にお還しできないことはまだ伝えていないのでしょう?」
「理解しがたいことだが、それがあの勇者のモチベーションだったからな。戻ったら伝えてやるさ。魔王を倒した暁にはカルラド大陸での戦争で利用させて貰おう。勇者の力があればクラール王国もその他の国も簡単に蹂躙できる。実に都合のよい兵器だ。適当に持ち上げてやればアレは喜んで働いてくれるだろうからな。単純な男だよ」
くっくっく……と腹黒い笑みを漏らします。
勇者にリアルタイム中継で覗かれているとは夢にも思いません。
そして魔王城では……
「………………」
調子に乗って魔王討伐に出かけていた過去の自分を振り返って、ずーんと凹んでいる勇者の姿があるのでした。
魔女っ娘の世界をより一層楽しめる!……かもしれない設定ページ「さなぎマテリアル」を始めました。
裏話や意外な設定があったりなかったり。
アルファポリス雑学趣味大賞にエントリー中です。
気が向いたら投票してくれるととっても喜びます(^o^)




