勇者語り13
「しかし折角余がロリ趣味に目覚めたというのに、向こうは勇者の使命とか言いながら一向に靡いてくれる気配がなくてなぁ。落とすまでに結構苦労させられたぞ」
そして魔王陛下のロリ趣味トークはまだ続きます。
勇者の耳もそろそろ腐りかけてきています。気分的に。
「へー……」
勇者の相槌も段々とどうでもいいものへと変わっていきます。
しかし相槌を打っているだけまだ人がいいと言えるでしょう。
魔女ならとっくにどつき回してから帰宅しています。
「……ご愁傷様です」
黒鍵騎士も勇者が哀れになってきたのか、そっと労いの声をかけます。……憐れみの声かもしれませんが。
「で? 苦労させられたって事は結果的に落としたってことでいいのか?」
「うむ。余は晴れてロリ勇者とベッドインに成功したのだ」
「そこまでは聞きたくねえし想像したくもねえ!」
「むう。ちっぱいは素晴らしいぞ」
「やかましい!」
ロリ趣味に目覚める気配のない勇者としては、想像したくもないベッドインでした。
「元々争いを好まぬ娘だったのでな。故郷を再現した月詠の里を与えてやり、そこで余とらぶらぶするだけで二度と戦わなくてもよくなるぞと提案したらようやく了承してくれたのだ」
「……餌が酷い。あと使命がどうとか言っていた癖にちょろい」
故郷の風景を餌にするあたり、中々酷い作戦です。たった一人異世界に召喚されて心細い女の子にはどストライクな提案だったはずです。
しかし世界の半分ではなく故郷を摸した里ひとつで寝返っちゃうなんてなんとも安上がりな勇者だったようです。
「でも俺は偽物の故郷じゃなくて本物の故郷に戻りたい訳だしなぁ」
「戻れぬ」
「え?」
「勇者は故郷には戻れぬ」
「何?」
「次元転移魔法は片道限定なのだ」
「………………」
「勇者を召喚したのは戦神クライストだろう? 奴はそこまで大きな力を持った神ではない。戦闘能力は凄まじいが、魔法に長けているわけではないのだ。だから強引に勇者を召喚することは出来ても、送還することは出来ぬ」
「えー……」
話が違う……と眉をハの字にする勇者でした。
「次元転移魔法を扱えるのは古龍だが、奴が人間の願いを聞き届けるとは思えぬし、狙った世界に送還できるとも限らぬ。勇者とは召喚された時点でこの世界で生き続けることを強制されるのだ」
「マジっすか……」
まだ現実を受け入れられないのか、げんなりとなりながらもどこか空返事の勇者でした。
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