勇者語り12
それから魔王陛下は先代勇者がどれだけ美少女だったのか。
どれほどのロリハリボディだったのかを懇切丁寧に語ってくれました。
必要以上、というか必要ない部分まで語ってくれました。
「つまりだな、最初は陰陽師らしく水干を着てやってきたのだが、やはり巫女服の方がいいわけだ」
「ふーん……」
「だがそれだと脚が全て隠れてしまい、生脚を楽しめない」
「へー……」
「だから先代勇者を返り討ちにしたら余が提示したミニスカートを穿くと約束させたのだ」
「はぁ……」
「そして余は勝利した!」
「そりゃよかったな……」
「そしたらあ奴とんでもない裏切りをしおったのだ!」
「裏切りの定義は人それぞれだと思うけど……」
「スカートの下にスパッツなどを穿きおったのだ! スカートの下にスパッツというだけでも邪道だというのにミニスカートの下にスパッツなど穿かれてしまってはめくる前から台無しではないかっ!」
「あっそ……」
それまでにスカートとはどんなものか、スパッツとはどんなものかという説明もしっかり受けていた勇者はとりあえず魔王の台詞の意味を理解した上で相槌を打っていました。
その声がだんだんと気の抜けたものとなり、その瞳がだんだんと冷たくなっていったのはもちろん気のせいではありません。
こんなものを魔王にする魔族に不安すら覚えました。
「ええと、つまり魔王は先代勇者に惚れちゃったってこと?」
そろそろ耳が腐りかけてきた(気分的に)ので、このあたりでまとめに入ろうとする勇者でした。
賢明な判断ですが魔王相手にはまだまだ実力不足です。
基本的には付ける必要のない分野の実力ですが、この魔王相手には修行が必要かもしれません。
「否!」
魔王はテーブルを叩きました。
怒りを込めて叩きました。
ヒビが入るぐらい強く叩いてしまいました。
あとで店主に弁償請求されますが、それは後日談になります。
「余は先代勇者に惚れたのではない! ロリ趣味に目覚めたのだ!」
「目覚めんなそんなもん……」
力説する魔王に対してそろそろついていけなくなる勇者なのでした。
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