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勇者語り04

 この時代、カルラド大陸は魔族と魔物の戦いに明け暮れていました。

 大陸内に繁殖しすぎた魔物の脅威もあって、大陸全土が疲弊しきっているのです。

 せっかく育てた冒険者も、増えすぎた魔獣の所為で減っていきます。

 討伐する立場の冒険者が減り、脅威である魔物ばかりが増えすぎていました。人間の被害は増すばかりです。

 小競り合いを続けていたハルマ大陸の部隊も引き上げさせて、魔物防衛に当たらせなければならないほどです。

 しかし専守防衛ではいずれ負けてしまいます。

 絶望が世界を覆ったとき、救世の英雄が現れるというのが物語のお約束です。

 人々の絶望と祈りを戦神クライストが聞き届け、異世界、つまりは地球世界から戦闘能力に優れた勇者を召喚したのです。

 異世界召喚のお約束であるチート性能ももちろん付いています。

『加護』という名目で、身体能力・動体視力・魔力・回復力を常人の十倍にまで引き上げてくれました。

 勇者が元から手にしている安物の日本刀ですら、クライストの力で『神刀』クラスのパワーを得ることになりました。

 露店で購入した安物日本刀が、いきなり伝説級の武器に変化したのです。びた一文消費せずに武器の強化が出来るという、お財布に優しい武器強化でした。


 勇者の仕事はただ一つ。

 その強大な力を活かして、単身でハルマ大陸に乗り込み、魔族を討伐して魔王と戦うこと。

 そして人間世界に希望と平和をもたらすことです。


「……とまあ、このような経緯で勇者殿を召喚させて貰ったわけだが」

「ふーん……」

 自らが救世の英雄だという自覚があまりないまま、他人事のように話に耳を傾ける勇者でした。

「勇者殿にお願いする。どうか魔王を討ち果たし、この世界を救ってもらいたい」

 レヴェンス王は初めて勇者に頭を下げました。

 王たる者はたとえ誰が相手でも頭を下げる生き物ではないのですが、お願いをする以上は建前だけでもぺこりとしなければなりません。難儀な生き物です。

 そして肝心の勇者の反応ですが、

「うわ~。めんどくせ~……これならあのまま火事で死んどけばよかったかも」

 というものでした。

 やる気ゼロです。

「………………」

 その態度にレヴェンス王がぶち切れそうになったのは言うまでもありません。



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