もふもふ彼女をゲットしろ!
そして複尾族の里にたどり着いた三人だったのですが……
「なんであんたがいるのよーーっ!?」
そこで待ち構えていたのは勇者でした。
「ふっ。甘いな魔女。この俺がもふもふチャンスを逃すと思っているのか?」
「だからって私とタイミングを合わせることないでしょうがっ!」
『もふもふチャンス』=『セクハラチャンス』と翻訳されることを知っているのは、この中では黒鍵騎士のみです。妖孤は突然の勇者登場に面食らっています。もちろん、相手が勇者だということは知らないのですが。
「魔王からメッセージが来た。魔女がここにいるって」
「……あのロリコンめ。余計なことを」
「………………」
ロリコン呼ばわりされた自らの主人を庇えない黒鍵騎士でした。本職以外の部分で色々と苦労人です。
「一人の時に来ればいいじゃんか。なんでタイミング合わせるのさ」
「だってよ~。俺が一人でやってきて、耳尻尾もふもふさせて下さいなんて言ったらタダの変態じゃん?」
「そのまま変態呼ばわりされてしまえ。勇者廃業して変態になってしまえ」
「……ひでえこと言うなあ」
勇者業は表向きとっくに廃業しているのですが、だからといって変態業を始めるつもりも全くない勇者でした。
「魔女と一緒なら魔王の許可付きだし、いろいろとやりやすいかな~って思って。つーかなんでにゃんこを連れてきてねえんだよ」
「にゃんこはおねむ中なの。ってゆーかあんたにもふもふさせるつもりはないからね。にゃんこは私のだから」
「一人占めは感心しないな」
「独り占めも何もにゃんこは私の使い魔だもん」
「……くそう。俺も使い魔欲しいなぁ」
「にゃんこはあげないからね。絶対に」
「新しいの作ってくれよ」
「それよりも耳尻尾の彼女でも作れば? それなら一日中触り放題だよ」
「その手があったか!!」
ぽくぽくぽくぽくぽく……ちーんっ! のごとくいっ●ゅー……ではなく神の閃きを得た勇者は満面の笑顔で頷きました。
そのうち魔族の彼女を持つ勇者が誕生するかもしれません。
「ま、勇者の肩書きを隠した上でそこまでモテればの話だけどね~」
魔女がぼそりと残酷なことを呟きました。
微妙に酷いことを言っていますが、まあいつものことなので気にしないことにしましょう。




