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東方災生変  作者: すばみずる
東方紅魔郷 ~the Embodiment of Scarlet Devil.
31/51

030:03/上海紅茶館

色々すっ飛ばしてステージ3前半

所々にある魔理沙との会話は原作っぽく書けたらいいなぁと

 昔映画で見た、車輪の無いキックボード――エアボードだったか?――を想像する。子供用のピンク色のボードに主人公が乗り、トラックや機関車にへばりついている場面は良く覚えている。

 あの時の主人公は、今の僕の様な気持ちだったのだろうか?両足を置くモノが自走し、危なげなく跳んでいたのだろうか。


「やるじゃないか。そんな立ち方だと数分も保たないと思ったけど、バランス感覚良いんだな」

「お褒めに与りどう……もぉッ!?」


 いや。今の状況の方が百倍危険だ。

 弾幕鮮やかな湖上を、霧雨魔理沙は縦横無尽に飛び回る。ミサイルポットの様な補助装備や、手に持った炉――ミニ八卦炉と言うらしい――が飛ばす力強い弾は、見ていて当たった方が可哀想に見える。

 弱点とすれば。それらは全て霧雨の前方にのみ飛ぶのである。一直線上の妖精共は圧倒出来るが、背後や脇は僕しか対応出来ない。

 しかしまぁ、それでも弾幕は迫ってくる。それならどうするか。躱すしか無い。

 上に。下に。右に。左に。前に。後ろに。殺人的な加速と共に、脳味噌を揺さぶってくる。

 正直、勘弁して欲しい。あまり乗り物に強い方じゃないし、何より足をホウキにくっつけてる結束固定の魔法は半ば気合いで成り立っているんだ。何時振り落とされてもおかしくない。だから錐揉み飛行とか止めてお願い吐く。吐きはしなくとも弾幕当たんないから止めてごめん嘘やっぱ吐く。


「辛いなら座ればいいじゃないか」

「いや、それはそれで辛い」


 つか、それやると反射的にお前を支えにしそうだからやだ。僕にだってプライドはあります。


「まぁいいけど……お、見えてきた」


 紅い濃霧の先。薄ぼんやりと見えるのはやはり紅。

 湖の岬にポツンと立つ紅魔館は、まるで獲物を待ち構える怪物の様に見えた。


「凪人。お前の目的は?」

「眠り姫の奪還」

「顔色の悪い王子様ってのは新しいな」

「悪い魔法使いの仕業さ」

「じゃあ、そこの湖ででも泳いでるか?」

「いや、泳ぐのは――――」


 答える、その前に。闖入者からの一撃を、銀色のナイフで受け止める。


「――――お客が来たから、また今度としよう」


 空に立つ、赤い髪の女性。ナイフの刃を逆に壊しかねない拳。しなやかな足運びはまるで地に足がついているかの様な。

 悪魔の館の門番が、此方にその凶器を向けていた。



華符「芳華絢爛」



 虹の花弁。宝石に見紛う気の弾幕が、視界を埋め尽くす。

 奇妙な図形を形作る花びらは、当てる為では無く、魅せる為の弾幕だ。正面から、花火の様に見れば分かる。当てる為なら、ここまで隙を見せたりしない。


「挨拶も無しとは、性急な奴だ」


 弾幕の間を縫う様に、白黒の魔女が行く。先程までの無茶苦茶な飛行では無いのは、距離を測って飛んでいるからなのだろう。


「見た目なんかより、弾幕は火力が無きゃダメだぜ」


 そう言いながら、自らの弾を飛ばす霧雨。その青い弾は確かに威力はあるだろう。威力があるから、真正面にしか飛ばないのだろうし。

 つまり、中てる事と、避ける事。両方に、絶対の自信があると言う事だ。


「………………」


 華の弾幕の中心目掛けて、手の甲を向ける。此処で僕が紅さんを撃ってしまったら――――――いや、何を言っているんだ僕は?

 撃ってしまったら? ふざけるな。今更何を言っているんだ。元より、彼女は門番。そして僕は外敵。それなら、やる事は決まっているじゃないか。


「……逃げろ」


 外敵は外敵なりの礼節を――――――真正面から堂々と門戸をぶち壊す礼儀を以て、貴女を迎え撃とう。


「逃げろよ、紅美鈴(、、、)


 さぁ、早く教えてくれ。その綺麗な花を手折る喜びを。


「――――『果実の罠』」


 ギチリ。脳が軋む。

 それと同時に、手の甲から真っ黒い魔法陣が一つ射出される。それは、僕が三日間の間に避け続けた弾幕を放つ『アレ』とそっくりだ。

 そこから放たれるのは、黒い弾。紅美鈴を対象に、正確に狙っていく。


「へぇ……面白いな、そのスペルカード。後で教えてくれ」

「体得した様なモノだから、難しいな」

「じゃあ、勝手に覚えるさ」


 そんな事を宣いながら魔法陣を操作する。素早くは動かなくても射角を変えながら、


 僕が得意だと判明した魔法、と言うより技術は、なんとも言えない代物だった。

 それは『模倣』。言葉通り、魔法や技術を模倣する技術だ。先程のスペルカードはフランドールの『グランベリートラップ』を再現して出来たモノであり、正確に言うとスペルカードと呼ぶには紛い物過ぎる。

 とは言っても、模倣魔法が無くても魔法は扱える。魔法の触媒を必要とするのはどちらでも同じだから、魔法を使う事に関しては正直どうでもいい。

 だが、スペルカードに関しては違う。あれは一人一人が作った弾幕パターンであり、固有の魔法みたいなモノだ。応用が苦手な自分には、魔法で弾幕を組み立てるのでは無くパクってしまった方がやりやすい。勿論、元にしたスペルカードを越える事は出来ないし、むしろ性能も気の燃費も悪い。

 それでも僕が模倣するのは、吸血鬼フランドール・スカーレットのスペルカード。偽物は本物を越えられない。されど、元々の力が強ければそんな事はどうでも良くなる。

 強い弾幕シューターに会えば会う程、僕は強くなる。最強にはなれなくとも、最強未満を倒す事が出来る様になる。

 ……筈なのだが。

 少しずつ円の形を失っていく魔法陣。薄れていく影絵を消していくのは、虹の破片。

「まだ強度が全然だな」


 この様に、模倣の質が悪すぎる。一級の素材を使っても、出来上がるのは十秒も保たないスペル。

 まだ足りない。こんな劣悪なモノでは足りない。登り詰めろ。理解しろ。全てを知って全てを吐き出せ。

 軋む脳を無視して、


「『激痛の枝』――――少し離れるぞ、霧雨」

「ああ……ああ!?」


 ホウキから空へ。両手の指先に熱が篭る。無炎の剣が肌を焦がす。

 揺らめく空気に色が宿り、真っ直ぐな一刀が掌から回りだす。


「――――」


 耳元で吹く風。落下感を伝える肌。体を包む戦塵。

 それらを邪魔する、虹の花びら。


「灰になれ」


 花の中心へ、剣と言うには巨大過ぎる厄災の刃が振り下ろされる。

 弾幕に掻き消えない黒い剣は、火の粉を撒きながら正確に、正確に、紅美鈴の体へと向かっていく。

 加速する脳の軋み。裏返ってしまいそうな意識。焦げた皮膚に当たる外気。狂おしい程の渇望は何に向けてのものなのかそもそも僕は何を考える必要があるのかただただやるべきは作業即ち目の前の怨敵を両断する事のみ





「力を得るだけじゃ意味が無い、制御出来なきゃ身を滅ぼす。三下ザコじゃあないんだから、それぐらい分かれ」




「――、―ーい、大丈夫か?」


 ぶらんぶらんと、ゆっくりと揺れる体。それと同時に認識出来る状況と、締まっていく首――――


「っ、げほぁ!?」


 反射的に首に手を伸ばすが、なんとか首の後ろへと方向を変える。暴れる前に安全確保。これ大事。

 腕力と風で体を前方向へ勢いづけ、くるんと一回転。僕の服を引っかけていたホウキの先端に無事に立つ。


「おお、八点」

「金取るぞ」

「助けたんだからチャラだな」

「首絞めるのが友情なのか」

「変わらない友情って美しいぜ」


 さらっと恐ろしい事を言ったなこの娘。

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