第2話
一輝は不機嫌そうに彰炎に訪ねた。
「なぁ彰炎よ。なぜ俺が二週間後のクラス対抗の模擬戦に出ることになってんだ?」
「僕が先生に推薦しておいたからだよ。」
彰炎は笑顔で答えた。
一輝の言うクラス対抗の模擬戦とは、毎年一年生が五月初めに各クラス三人一組のチームをだし競い合う行事のことだ。
もちろん成績に少しながら含まれる。
そしてもうひとつ嬉しいおまけがついている。
それは専用のアーマードを一足早く支給されるのだ。
一輝はその代表に選ばれたのだ。
しかし一輝は不機嫌だった。
一輝が不機嫌な理由は今朝のホームルームにある。
ホームルームの時間手塚はクラス対抗の模擬戦について話初めた。
「再来週の月曜日に行われるクラス対抗戦だが出るためにはクラス委員になる必要がある。誰かクラス委員になりたいやつはいるか?」
当たり前だが誰も手をあげない。
自分から面倒なことを引き受けるやつなんかはいないだろと、思っていた。
一人の生徒が手を上げて立候補した。
天下彰炎だった。
「天下やってくれるのか?」
「はい。」
「他にいないならクラス委員は天下に任せるぞ。いないみたいだな。クラス委員は天下に決まりだな。じゃあとは代表二名だな。代表になった者は副クラス委員だからな。誰もいないなら天下に決めてもらうからな。」
と言う話があったのだ。
一輝は自分がなるとは微塵も思ってなかったらしい。
だが普通に考えれば同室で飯等もよく一緒に食べているのだ。
絶対ならないと考える方がおかしい。
むしろなる確率の方が高いだろう。
「霧島今日の放課後第二グラウンドに集まってくれ、練習するから。」
一輝はため息をつきしょうがないと思い、わかったと返事をした。
放課後第二グラウンドに集まった。
一輝はある女性と彰炎が来るのを待っていた。
「で、桜子は自主的に参加か?それとも強制か?」
「もちろん、あたしは自主的参加よ。」
当たり前じゃないのと言うような感じの態度をとり、あんたとは違うのよと気がした。
一輝はもう一度聞いた。
「ほんとか?」
桜子は顔を赤くして答えた
顔が赤くなっているのは一輝にじっと見られながら聞かれたからだろう。
「ほ、ほんとよ。」
桜子は腕を組一輝から目線をそらし答えた。
そんなやり取りがちょうど終わった頃彰炎は現れた。
「霧島、桑原お待たせ。」
「お前どこいってたんだよ?」
「先生のとこ行って、場所とアーマードの使用許可貰ってたんだよ。」
そう言うと持っていた使用許可書とアーマードの格納庫のカードキーを見せた。
格納庫を開けると中には量産型のアーマード「皐月」があった。
「皐月」は量産型のアーマードの中でも性能がよく扱い易いアーマードだ。
初心者向きとも言えるだろう。
一輝達はアーマードを装着し格納庫のそとに出た。
授業で装着から起動、最適化、移動までやっていたので格納庫のそとに出るまで時間はかからずにすんだ。
「よし、じゃまずはグラウンド5周から。」
そう言い三人はかかとにつくオールスピナーを起動させ走った。
正確には滑ると言った方がいいかも知れない。
オールスピナーを起動させれば最高速度100kmで移動することができる。
走り終えると近接ブレードを手に取り素振りをはじめた。
その素振りの量が半端じゃなかった。千本だ。
三人が素振りを終える頃には日がくれていた。
第二話 完
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