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プラスα思考

作者: 結城 祐




俺の目の前にある十メートル以上もある巨大な仏像。

これを見て妙な妄想が俺の頭の中に浮かぶ。





仏像が俺の方向に倒れてきたら。







すると、昔友人が語っていた事について思い出した。


プラス思考の話だ。


物事を肯定的に捉える考え方。


生き方がプラス思考になるだけで自分の人生が明るくなる。

そう言っていた。



確かにそうだ。

例えば、モテない男達がテレビで黄色い声援を浴びているアイドルを見て


「あぁ、こいつら顔が良いだけでモテやがって。

 そう言ってるだけで性格まで悪く見られる俺達の身にもなれよ」


と言うか。


「俺達がいるからこいつらが映えるんだぜ?

 感謝しろよっ!」


と言うか。




人によっては反応は異なるが、思考においては周りの反応は関係ない。

しかし、少なからず後者の方が良い結果になると考えるのは容易だ。

そして恐らく後者がプラス思考であるはずだ。





気持ちの苛立ちも少なくなり、楽になったような気がする。





こう考えるとプラス思考はある意味『心の特効薬』なのかもしれない。


ただし、この特効薬は扱いがとても難しい。


なにせ、「プラス思考に考えよう」と思った時点で、その人物の思考は『マイナス思考』なのだ。





これも例えを出してみると、テストで悪い点を取ってしまった学生がいるとする。


「これは俺にもっと頑張れという事か。

 よし、頑張るぞ!」


と考えるプラス思考。


「きっと俺には他に才能があるはずだ!」


これもプラス思考。


しかし、勉強に限っての事だが後者はマイナス思考になりうる。

人にとっては当然の事だが、必ず「勉強を頑張らなくても良いのか」と言う思考が介入してくる。

前者は言っている事に限り、その様な思考が入る余地は無い。


100万秒の内の一秒でもその様な心配をしてしまった時点で、

心配を振り解こうと「プラス思考に考えよう」と言う『マイナス思考』が入ってくる。

それは先述のモテない男達にも当てはまる事だ。


ごく自然にプラス思考になれるか、それが問題なのだ。


だから人から「プラス思考になろうよ」と言われて、プラス思考になるなんて事は無理な話だ。








今の俺の状況はどうだ。


巨大な仏像を眺めていて、突然俺の方向へ倒れてきたとすれば。


「仏様が俺に『ここで死ね』と言っているのだ」


と考えるか。





いや、無いな。

そこは横に逃げておこう。




「生きたい」




そう咄嗟に思うだろうから。

生きなければ何も生まれないから。




どの様な窮地に立たされた自殺願望者であっても、

死ぬ間際は「もっと幸せに生きたかった」または「次はもっと良い人生になるはず」と思うだろう。


しかし、それは『マイナス思考』。


良い方向には進まない。


生きなければ何も生まれない。

「生きたい」と言う本能が少しでもあるのなら、それに従うのが『プラス思考』




真の『プラス思考』とは本能的な行動、そのもの。

心の底から『プラス思考』の状態。



「プラス思考になろう」

その思考は『マイナス思考』。






世の中の全てをプラス思考に考える、これは無理な話だ。

本能的に嫌なものは嫌だから。






「あぁ~あ、明日からまた仕事か。。。

 まぁ不景気の中、職に就けてるだけでもマシか」





俺の口から自然とその台詞がでた。








自然とこんな台詞が出てくれば、いいと思うよ。


俺としてはね。










短編は初めてですが、如何でしたでしょうか。


心の底からの『プラス思考』が『プラスα思考』。

それを書きたかったんです。


普通に『プラス思考』と考えただけでは、

「単なる逃げ道」に過ぎないからです。


自殺願望者の話もそうです。

きっと彼らは本能的思考を全く行動に移せなくなってしまった人でしょう。


それは現代において最も難しい思考だからです。

本能をコントロールする理性は本能よりも大事、私もそう思います。


しかし、自然体も大事です。

いかに本能を出しつつコントロールするか。

『プラス思考』は難しいです。



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