2話「虚飾の街」
二人はルビークロスという街を目指して歩いていました。
しかし、その街へ行くには大きな黒々とした煙を放つ製鉄工場の前や、瓦礫と汚い水溜まりのある、バージュウェイという名前の荒れた住宅街を通らなければなりませんでした。
その街はまだ朝方だというのに、辺りは陰気な雰囲気が漂っており、泣き叫ぶ赤ん坊を抱えた娼婦や、痩せこけて虚ろな表情の少年が汚い道端に座っていました。
するとどこからか、鋭い銃声や罵倒する様な声が聞こえてきました。
グレイシアは思わず耳を塞ぎたくなりましたが、ぐっと堪えて平気なふりをしてエリオットの隣を歩き続けました。
しばらく歩いていると、煤だらけの幼い女の子がやって来て、エリオットのズボンを引っ張りました。
彼は何も言わずにポケットからパンの切れ端を取り出すとその女の子にあげました。
女の子は笑顔を見せた後、その場でパンの切れ端をむしゃむしゃと食べて薄暗い路地へ戻って行きました。
グレイシアはその姿を見送った後、ふと自分が何かを踏みつけたことに気づきました。
足元を見るとそこには新聞の切れ端がありました。
彼女はそれを手に取り訝しげな表情を浮かべました。
「ジョーンズ家の子供3人が行方不明に、グリーンバード街で今月3度目の被害」
彼女はその記事の見出しを読み上げました。
「金持ちの子供は違うね、俺達が死んでも噂にもならないのに」
彼は皮肉っぽくそう言いました。
グリーンバード街は、ルビークロスの隣にある富裕層が住む街でした。
グレイシアは軽く内容に目を通すとそれを手放しました。
その瞬間、エリオットに今度は少年が話しかけてきました。
「よお、エリオット。炭鉱の仕事はどうだよ」
彼は深く帽子を被っていましたが、鋭い目をしており、くたびれたシャツを着ていました。
「キツいけど、お前の今の仕事よりはマシだな」
エリオットは何かを揶揄するようにそう言いました。
「さあ?なんのことだかな」
その少年はとぼけたふりをしてそう言うと、エリオットのポケットから素早く何かを引き抜きました。
「ネックレス貰ったぜ!」
彼は奪ったネックレスを見せびらかしながら、そう言いました。
「おい、それはグレイシアに」
エリオットは不意を突かれたことに驚き、咄嗟に言いました。
その少年ははじめからネックレスを奪うつもりでエリオットに声をかけたのでしょうか。
グレイシアには、その真偽は分かりませんでした。
ただ彼女はそのネックレスを受け取る気などなかったものですから、何処へ行こうが構いませんでした。
「いいのよ、それが貴方の役に立つなら」
グレイシアはその少年に何気なくそう言いました。
「なんだよ‥くそっ!!」
彼は吐き捨てるように言うと、バツが悪そうに走り去っていきました。
二人は立ち止まってそんな彼の姿を見送りました。
エリオットは少しの間、複雑そうな表情を浮かべていましたが、再び歩き出しました。
グレイシアも彼と並んで歩き出しました。
「あいつは、コリンっていうんだ。前に街で知り合って、一緒に仕事をしたり遊んだりした。今じゃすっかりギャングの仲間になっちまったけどな」
彼は少し寂しそうに言いました。
グレイシアは敢えて何も言わずに頷きました。
* * *
それから二人は黙って歩き続けていました。
グレイシアはいつの間にか、さっきまで自分達が歩いていた、湿った薄汚れた道が徐々に舗装された綺麗な道に姿を変えていることに気づきました。
二人は、ようやく別の街に辿り着きました。
グレイシアは、思わず目の前に広がる景色に目を見開きました。
活気のある色とりどりのレンガ造りの洒落た街並みが広がり、
着飾った婦人達に元気な声を上げる商売人、立派なスーツにシルクハットを被った紳士の姿が彼女の目に留まりました。
その光景はまさに、グレイシアが幼い頃から心に描いていた街の景色そのものでした。
「すごい!!」
彼女は行き交う人々や街の美しい景観を眺めて、目を輝かせて言いました。
「ここがルビークロスだ」
エリオットは少し誇らしげにそう言うと、彼女のとても晴れやかな表情を見つめました。
彼は、そんな無邪気に喜ぶ彼女の顔を見ていると、街へ来た本来の目的など忘れて、この街の色々な場所に彼女を連れて行ってやりたくなりました。
彼女にとって街というものは、話に聞くばかりでずっと想像の中だけの存在でした。
そしてそれが、やっと現実として目の前に現れたことが、彼女にとっては凄く嬉しかったのです。
それから二人は、焼けたパンの香ばしい香りが漂う、人で賑わうパン屋の前を通りがかりました。
エリオットは、グレイシアがパンに興味を示していることに気づき、人混みをかき分けて大きな声で店主にパンを一つ注文しました。
しかし、彼に気づいた店主は冷たくこう言いました。
「なんだい、クソったれの息子に売るパンなんかないぞ」
グレイシアはその言葉を耳にし、思わず自分の聞き間違えかと思いました。
エリオットはむっとした顔をしてすぐにその場を離れました。
二人は再び歩き始め、木造の2階建ての酒場の前を通りました。
彼女はふと店の脇に並んでいるワインの樽に目をやりました。
そして店の壁に張り紙が張られていることに気づきました。
エリオットは彼女が急に足を止めて、それをじっと見つめていたものですから、またかと思いました。
彼女は顔をしかめながら内容を読み上げました。
「少年ギャング集団のエマ、アメリア、ソフィアにご注意。スリや強盗、誘拐、殺傷事件は今月で26件」
彼女はこの華やかな街でこのような事件が起きていることに全く驚きませんでした。
それというのも、ここに来る道中で目にしたバージュウェイの濁った空気や虚ろな人々の目、ネックレスを奪ったあのコリンという少年がこの街の方向へ走り去っていったのを思い出したからです。
「怖いわ」
グレイシアは思わず小さくそう呟きました。
「平気さ、ギャングが狙うのは金持ちの夫人かその子供くらいさ」
エリオットは安心させるように言いました。
「こんな事件、なくなればいいのに」
グレイシアはエリオットの方を振り返り、しっかりとした口調でそう言いました。
エリオットはその時、ハッと目が覚めるような思いがしました。
それは彼がこの街が持つ、表と裏の表情に良くも悪くもすっかり慣れてしまっていたからです。
しばらく彼は黙っていましたが、やがて口を開きました。
「その言葉、ヒューバートン男爵にも聞かせてやりたいな。あいつ、この街がどうなろうが自分が贅沢できりゃどうでもいいんだ」
グレイシアは彼の言葉を聞いて、やるせない気持ちになりました。
エリオットは男爵のことを良く思っていませんでした。
それもそのはず、彼は領主であるからといって、ゴードン山でもこの街でも高慢で横柄な態度をとっていたからです。
二人は男爵のことを頭の中から振り払うために再び歩き出しました。
しばらく歩いていると、宙に向かって伸びるようにそびえ立つ尖塔に、屋根に悪魔のガーゴイルのついた石造りの、とても立派な教会が見えてきました。
そしてその教会の入り口の前の階段に、幼い子供達が座っていました。
「あの教会の神父様は凄くいい人なんだ。どんな奴にでも同様に手を差し伸べてくれる」
エリオットは穏やかな顔でそう言いました。
グレイシアはゆっくりと頷くと、ふと反対側の道に目をやりました。
そこには、今度は華やかな石造りの屋敷がありました。
その屋敷は赤茶色の重厚な石瓦の屋根に、煙突と幾つもの大きな窓がありました。
そしてその、広大な敷地にある花壇には、美しい花々が咲き誇っていました。
「あそこは?」
グレイシアは、思わずその屋敷のことを彼に聞きました。
「前は男爵の屋敷だったけど、今は会館として音楽の演奏とか観劇を行っている場所らしい、まあ要は貴族の社交場ってとこか」
彼はあまり興味なさそうに言いました。
実はグレイシアは、ベンの話からこの二つの場所の存在だけは知っていました。
それくらいにこの教会と会館は、ヒューバートンでは有名なスポットでした。
地元の住民だけでなく、遠方からの来訪者も多く足を運びました。
主に商人、商人や職人などの中産階級の者から、爵位を持つ貴族や資産家などの上流階級の者、極まれに他国の皇太子までもが、はるばるこのルビークロスまで足を運ぶほどです。
それもそのはず、ルビークロス出身の有名な歌手や演劇人、画家は非常に多く、
彼らはこれらの場所で自らの実力を周囲に認知させていたからです。
彼らは皆口を揃えてこの街を、芸術に栄えた素晴らしい街だと評価しましたが、
それはあくまでもこの街が見せる表向きの表情にすぎません。
グレイシアは主に本や父の話、時折エリオットの話を通して、この街のことやヒューバートン全域が抱える時事的な問題を知っていました。
それは森林資源の減少による諸問題だけでなく、製鉄工場や蒸気機関車などの事業の運営に多額の借金をしていること、大気や水質の汚染、貧富の差がかなり激しく治安が悪いことなどです。
今の社会の流れに順応するためにやむを得ないところもありますが、
領主である男爵は享楽的で、これらの問題は放置されていました。
* * *
二人はこれらの建物を眺めながら歩き、やがて大きな噴水のある広場に出ました。
グレイシアは珍しそうに噴き出す水しぶきをまじまじと見つめていました。
エリオットもキラキラと日の光に照らされて光る水面を目にして少し心が癒されるのを感じました。
二人の間に心地よい沈黙が流れていましたが、それは遠くから聞こえた銃声によって打ち消されました。
その瞬間、グレイシアは思わず息を呑みました。
遠目から、胸から血を流している従者と彼を乗せて暴走する馬の姿が見えたからです。
馬は黒塗りの装飾の施された馬車を引いており、そこには乗客がいるようでした。
馬は脚を何者かに数発撃たれ、血を流し悲鳴を上げながらも懸命にこちらに向かって走って来ました。
そして、噴水の目の前で再び撃たれとどめをさされたのか、馬はその場に倒れました。
それによって馬車は急停止し、その反動で従者は噴水の中に勢いよく飛び込みました。
水面は血で染まり、馬車の中から悲鳴が聞こえ、馬はどっしりとその場に倒れていました。
一瞬で美しかったはずの噴水が血の海と化し、見るも無残な惨状を呈したものですから、
グレイシアは驚きのあまり、目の前の状況をうまく飲み込めませんでした。
するとすぐに、不揃いな背丈の少年達がドタバタとやって来て馬車の周囲を囲み、一人の少年が馬車の中へ入り、泣き叫ぶ小さな女の子を押さえつけながら出てきました。
その馬車に再び二人の少年が入り、そこから女性の金切り声が聞こえました。
「大変だわ、女の子が」
グレイシアは咄嗟にそう呟きました。
しかし、彼女と同じ光景を見ているはずのエリオットは、牽制するかのように鋭く彼女を睨みつけました。
「放っておけ、あの子はヒューバートン男爵の娘だ。奴らは身代金が目的だから殺しはしない」
エリオットは低い声でそう言うと、その場を離れようとしました。
「おい、穀潰しのクソ女が。お前の旦那が俺達のファミリーを嬲り殺しにしたそうじゃねえか。よくもやってくれたな!!」
馬車から出てきた少年がそう叫びました。
その直後、ヒューバートン男爵の夫人と思われる女性の取り乱した声が辺りに響き渡りました。
「そんなことやっていないわ!!!いくらでも払うから娘を放して!!」
夫人は2人の少年に押さえつけられながらも扇子を握りしめ、そう言い返しました。
しかし、夫人の顔はすっかり青ざめていました。
目の前で娘を押さえつけている少年が、ナイフの先を娘の首元に当てたからです。
「いい加減、お前らにはうんざりなんだよ!!ここで殺してやる!!!」
彼は気が狂った様に、憎しみに満ち満ちた声で、目を血走らせながらそう叫びました。
エリオットはそう叫ぶ彼の顔に見覚えがあり、思わず顔をしかめました。
すると少年に人質に取られ、恐怖に慄いていた幼い娘の甲高い悲鳴が周囲に響き渡りました。
その瞬間、グレイシアは両足に履いていた靴をどちらも脱ぎ、渦中に飛び込む覚悟で、全力で走りました。
そして脱いだ靴の片方を、ナイフを持って女の子を抱えている少年の顔めがけて、思い切り投げつけました。
「おい!!」
エリオットは彼女の行動に目玉が飛び出しそうになり、思わず叫びました。
グレイシアの投げた靴は不意を突かれた少年の顔に直撃し、
彼は思わずよろけて女の子を腕から離し、ナイフを落としました。
彼女はその隙を見逃さず、その女の子を抱えると再び走り出そうとしました。
「伏せろ!」
エリオットの力強い声が聞超えるや否やグレイシアはすぐに身を屈めました。
すると瞬く間に、彼女の頭上を弾丸が通りました。
そして彼女はすぐ側にいた、靴の攻撃を受けた少年が目の前で何者かに撃たれるのを目にしました。
矢継ぎ早に、今度はグレイシアの後方で新たに鋭い銃声が鳴り響きました。
彼女を死角から狙撃しようとした少年が、逆に何者かによって撃たれたのです。
グレイシアはあまりの突然の出来事に、何が起きているのか分からず、恐怖で足がすくんで立てなくなりました。
これには馬車で夫人を取り押さえていた少年達も、予想外の事態に唖然としていました。
彼らは危険を感じとったのか、夫人を取り押さえるのを止め、その場から一目散に逃げだしました。
グレイシアのすぐ傍で撃たれた少年は、膝からどくどくと血を流しながらも、なんとかナイフを拾い上げようとしました。
エリオットはその血を流している少年に近寄ると、脚で彼の頭を思いきり蹴り、気絶させました。
そして、エリオットは銃を構えると、先程バージュウェイで自分からネックレスを奪った、こちらに向かってくるかつての友人を睨みつけました。
「どういうことだ、コリン。こいつ、本気で男爵の娘を殺そうとしただろ」
エリオットは、足元に倒れている少年のことを指して、静かに低い声で言いました。
コリンは錆びだらけのナイフを震える両手で持ち、エリオットの前に現れました。
「あとちょっとで敵討ちが出来たのに、邪魔するなよ!!」
彼は顔を強張らせながら叫びました。
「敵を討ってお前の何になるんだよ。どうせボスからそう命じられただけだろ。もういい加減こんな仕事やめちまえよ」
エリオットは真剣な表情でそう言い放ちました。
「俺だって…俺だってもう、やめたいよ」
コリンはナイフを持った両手をゆっくりと下ろすと、すすり泣き始めました。
エリオットは街中を巡回している兵士がこちらに向かって来ているのに気づきました。
「ここから早く逃げたほうが良い」
エリオットがそう言うと、コリンはその場を走り去っていきました。
エリオットは、女の子を抱きしめたままうずくまっている、グレイシアの肩を優しく叩きました。
エリオットはなんと一瞬でギャングの少年達を追い払ってしまったのです。
グレイシアは血の気の引いた顔でエリオットを見上げました。
それから彼女は深呼吸をして心を落ち着けてから、ゆっくりと立ち上がりました。
そして二人は馬車まで向かいました。
エリオットが馬車の扉を開けると、扉から奥の席に座る、項垂れている夫人の姿がありました。
グレイシアは夫人に声を掛け、抱きかかえていた女の子を夫人の手に渡しました。
夫人は娘であるその女の子を強く抱きしめ、安堵した表情を浮かべました。
グレイシアとエリオットはその様子を目にし、無事助けられたことを実感して少し微笑みました。
「ありがとう、ギャングのお兄さん!」
女の子は夫人の胸元からグレイシアの方を振り返ると、無邪気に嬉しそうに言いました。
そして彼女は夫人の腕をすり抜け、馬車から降りるとグレイシアとエリオットの前で、ドレスの裾をつまみ膝を曲げて会釈しました。
夫人はその様子を見て思わず目を見開きました。
そして夫人も目の前の二人に思わず礼を言いたくなりましたが、
そっけなく軽蔑するような口ぶりでこう言いました。
「ローラ、こんな盗人かもしれない貧民達の前で何をしているのよ!早くこっちへ来なさい!
お前達もさっさともう何処かへ行きなさい!これ以上、私の娘を薄汚い手で触らないで!」
ローラは慌てて馬車に乗り込みました。
エリオットは夫人の態度に呆れて目を回しました。
グレイシアもこれには内心傷つきましたが、何も言わず黙ってその場から離れようとしました。
すると、去り際に夫人と目が合いました。
夫人はグレイシアの顔を凝視すると、細くて長い首をかしげました。
グレイシアは夫人の美しさに思わず目を奪われました。
彼女はグレイシアと同じブロンドの手入れされた髪に、ぽってりとした魅力的な唇の目立つ、整った顔立ちをしており、メリハリのある体をしていました。
そして、花や宝石で飾られた上品な紺色の帽子を被り、シルク生地の薄い橙色の豪華なドレスを着ていました。
助けた夫人の娘も、彼女と同じ髪色でクリっとした大きな瞳に、サテンの薄い水色のリボンのついたツインテールにボンネットをつけ、フリルの沢山ついた可愛らしい水色のドレスを着ていました。
グレイシアは、はじめて目にする貴族の高貴な外見に思わず惚れ惚れしていましたが、不意に自分が着ているくたくたの色褪せたシャツが目に入り、なんだか惨めな気分になりました。
自分との身分の差をまざまざと感じ、気後れしてしまったのです。
それから、グレイシアとエリオットもこちらに駆けつけてきた数名の兵士から逃げるようにその場を後にしました。
エリオットはグレイシアを軽く肩に担ぐと、彼女が投げた靴を拾いあげ、彼女を花壇の石垣に座らせました。
グレイシアは靴を拾ってくれたエリオットに礼を言うと、足の裏の砂を払って靴を履きました。
そして二人は再び歩き出しました。
* * *
二人はしばらく黙っていましたが、エリオットが口を開きました。
「ありがとう。あいつに一言言ってやれてよかった」
彼はコリンのことを揶揄して言いました。
「お礼を言うのは私の方よ、貴方が居なかったらあの子を助けられなかった。無茶なことをしてごめんなさい」
グレイシアは後ろめたそうに言いました。
「気にするな、ギャングのお兄さん」
彼は茶化してそう言いました。
彼女は思わず眉をひそめましたが、さり気なく聞きました。
「そう言えば、銃を持っていたのね」
エリオットは彼女からそう言われて、片手でポケットから銃を取り出しました。
「ああ、そうだよ。これはいつだったか忘れたけどその辺で野垂れ死んでいた、知らねえギャングの男から奪ったやつだ」
彼はそう何の気もなしに言いましたが、最後にこう付け足しました。
「護身用さ」
エリオットは彼女の方を一瞥しましたが、彼女は複雑そうな表情を浮かべていました。
「本当に物騒ね。この街も貴方も」
彼女は静かにそう呟きました。




