場違いの花(1)
ご観覧ありがとうございます。
ヤンデレはシリアスかコメディかが最近の悩みです。
あれから2日後。
一連の騒動によりクラスでの明の立場はより悪くなる一方だったが、明はディレに言われたアドバイスをがむしゃらに続けていた。
「あの、そこのあなた。」
「?…上級生の方…ですか?一体。」
「このハンカチを落としたと思うんだけど、あなたのかな?」
「…そう、ですね。ありがとうございます。」
「?…どうかしましたか。」
「フフ、ごめんなさい。先輩変に敬語だからちょっと面白くって。」
(あっ、そっか。)
「それじゃあ先輩、ありがとうございました。」
そう言い小走りで去っていく。
久し振りに拒絶されずにいてほっとした明だが、端から見ていたディレの反応は微妙だった。
((アンタを知らなそうな奴にしても意味ないでしょ馬鹿))
そう思っていると何故か誇らしげな顔で此方を向く明。
だから意味ないってのに、その顔に腹が立って仕方ない。
(あと出来ることは…)
次にやるべき事を考えていると後ろから聞き慣れた声が掛かる。
「やっほー明君、なにしてんの?」
「白雪さん?どうして。」
(ナツミ?)
「また話そって言ったでしょ。」
夏実に話しかけられて嬉しさを隠せない明。それを見てムカっとしていたデイレだが、話すタイミングを見失っていた。
(ナツミったら、一体何で話しかけてんのよ。)
「えっと、何か様があったとか?何か無くしたとか…」
「?、そんなことじゃなくても話すって。…まぁ今回は様があって来たんだけど。」
そう言うと彼女は改まって僕に質問して来る。
「ごめん、ちょっと気になって。明君の事見てたんだけど…何かしてるよね?」
「…えっと。」
「その件でディレとも話してたの?話してくれれば私にも何かできるんじゃないかな。」
不意にディレを見つめるが、此方の会話がわからないくて戸惑っている様子だ。
ここは自分で決めるしかないが…
(正直、今は一人でも協力者が欲しい…。)
それも人気者である白雪さんなら願ってもない協力者だ、しかし。
(下手に協力している所を見られれば僕みたいな扱いに…なることは無いだろうけど、少し不安だ。)
明は協力を躊躇していたが、夏実の真っ直ぐな瞳にきずくと大きく動揺した。
彼女の目は背けられぬほど純粋と誠実がその瞳から伝わったからである。一目でわかる程の誠実さが伝わる人は彼女が初めてだった。
事情を察したであろうディレが明に目配せと合図を送っているが、最早彼女に目は移らず夏実をじっと見据えて決断する。
「白雪さんが良ければ聞いてくれないかな。」
「こっちから聞いたんだから、それに夏実で良いって。早速聞かせてくれる?」
フフっと笑い、優し口調で夏実がとう。
「…うん、実は…
Leeーーrooーーー
言おうとしたその時、校内にチャイムが響き渡る。
「あらら、残念だけど次の休憩時間ね。」
「そう…だね。」
ようやく決心したと言うのに、いつもは喜ばしいチャイムの音も今は憎く感じる。
「それじゃ、クラスに戻ろっか。」
そうしたいのは勿論だが白雪さんの後ろからディレが此方を睨み付けている。
何か言いたげなその目を無視できず、少し用事と告げて
恐る恐るディレに近づく。
「…何話してたの?」
「あの、実は…僕の事を白雪さんにも教えるのはどうかなって。ほら、もしかして協力してくるかもしれないし、そしたらディレの負担も減るし…。」
「……」
「……」
いつかも味わったような沈黙が続く。またこのまま長く続くんじゃ無いかとひやひやしたが流石にチャイム直後なので、ため息をつきディレがクラスに戻る。
その際ほっと安堵したのもつかの間、横を通る際((後で屋上に集合…))とまるで脅し…いや確実に脅してくる。
僕は流石に早計だったと反省しつつ、後に何と言われるかと少々怯えながらクラスへと向かう。
~~
打ち明けた際白雪さんに引かれないか、拒まれ無いか、打ち明けるのをディレに拒否されないかと考えるうちに目まぐるしい早さで授業は終わりを迎えていた。
終わりのチャイムを告げると共に、ディレに振り向きざまに睨まれ此方に合図を送る。
((は·や·く·こ·い))
そうして、ディレは廊下にでようと席を立つ。自分も後を追おうと静かに席を立ち向かおうとするが、
「明君。」
(!?) (!?)
二人だけじゃなく、クラス全員が内心驚いていた。
クラス…学校内で今明と話す、ましてや話しかけようとしている者などいないからである。
またもデジャブのような静寂に包まれるが、明が止めようとするがそこを割って入るように夏実が話し続ける。
((し、白雪さん。今は…))
「さっき話そって言ったのに、何か別の用事でもあるの?」
((いや、そう言う事じゃなくて…))
回りの反応が気にならないのかと言わんばかりに見渡すが、それもお構いなしに明を連れ出そうとする。
「じゃあ大丈夫だね。
ここ…じゃなんだし、移動しよっか。着いてきて。」
((えっ!ちょっと!!))
夏実は明の手を掴み、半場強引にクラスから離れた。
((えっ…どう言うこと!?)) ((何で夏実さんが?))
((ストーカーされて…脅されてるとか…))
彼らが離れた後様々な憶測がクラスで賑わせたが、一人の少女は全く別のことを考えていた。
「………」
ディレはその拳を握りしめながら、ざわつくクラスの中をかきわけ二人の後を追った。
これからも魅力的展開で描いて参りますので宜しくお願い致します。