相違協力(1)
ここからは文作が続くかもしれません、楽しんで参ります!
「僕…好きな人ができたかも。」
「…ふーん、そう。」
学校終わりの帰り道、妙に緊迫した態度で「大切な話がある」と明に言われたので彼の部屋に向かうと、予想通り告白された。
(やっぱり、前々から態度が可笑しいと思ってたら。)
ここ最近特に態度が良かったり質問責めしたりしていたのでなんとなく察しはついていた。
(ま、私といれば好きになってもしょうがないけど…)
控えめに言っても私は可愛い方だと思うし、男共にも人気有るのは知ってる。それに素の態度で一緒に楽しめるコイツはそれなりに良い存在と言えなくもない、だけど…
(正直恋愛感情は無いかな~。)
(どうしよっかな~、でも断ったら絶対面倒になりそうだし~。)
(ってかぜんっ然!釣り合ってないし、よく告白できたよね~。)
ニマニマとした表情で上の空なディレを見て不思議に思う明だが、何とか会話を続けた。
「それで…その…」
(…まぁ、全否定すんのも可哀想だし。お試しでなら付き合ってあげてもいいかな。)
「密姫っ「おい、誰よそれ。」
「え?」
ベッドに座っていたディレが瞬時に明の目の前に詰めより、顔を覗き込む。
「今関係なくない?好きな人の告白してる時に他の女の名前言うとかデリカシー無さすぎでしょ?」
「ご、ごめん。でもその好きな人の事で…。」
「……は?誰が?」
「密姫って人。」
「…好きな人?」
「…うん。」
少し顔を赤らめながら明が言う。
「.....................................」
~~~~~~
「……」
「えっと…ディレ?どうかしたの?」
そう聞くと何か考え事をしていたデイレに、明は軽くはたかれた。
「別に。」
「えぇ…。」
(そう言えば、コイツと疎遠になったのってあの頃からだっけ。)
あの後どうしたかは正直覚えていない。コイツの執着心も異常だけど、不釣り合いな女との様子を横目に呆れていたのは覚えてる。…思い出したら腹が立ってきた。
「?」
「チッ……で?」
「えっ…」
唐突な切り替えに思わず聞き返す明。
「だから!あのキモい執着をやめたいんでしょ!?その為になにするとか、何してたとか。」
「ああっ…特に何かしてたとかはなくて、一応考えてきたんだけど、案を一緒に考えればって思って…ごめん。」
(…一緒に。)
気まずい沈黙が続く、こういった場合は僕の発言でディレを怒らせた場合によくある。
これ以上は怒らせまいと、明は話を続けた。
「それと…昨日は十分に言えなかったから、情けない事だけど、協力してくれてありがとう。」
「…別に、前も言ったけど私の為にアンタを変えんの。
それ以外無いから。」
素っ気ない態度で脚を組み直す彼女を見て、感謝すると共に何か妙な気を感じた。
「だからその辛気臭い言いぐさやめて、腹立つし、さっさと案だしなさいよ。」
初期とは違う印象だった彼女の悪態に、最初こそ驚いたが今ではすっかり慣れたものだ。しかしそんな彼女だからこそ、すんなりと本心を話せたのかも知れない。
ディレの言葉に嘘はないと、そう思える。
「それじゃあ…密姫に会って少しづつ慣れ「馬鹿、アンタ馬鹿?それじゃまた逆戻りでしょ馬鹿。」
「……」
しかしウソがないと言うのは時に心を抉られる、容赦なく。
「えっと…なら偶然を装って帰り道一緒に「アンタ変わる気無いでしょ?ストーカーじゃん、ストーカーだけど。」
「…ごめん。」
ダメだ、未だに密姫と会えるよう思考が働いてしまう。
我ながら恐ろしい。
「…もしかして、ゲーセンで私に会ったのって、私を…ストーカーしてた?キモ。」
「いや!それは無くて、あれは唯の偶然で、ホント!」
「……」
(あっ不味い。)
何故かはわからないが怒っているのだけは感じ取れた。
また不躾なことを言ったのかと頭を悩ませる。
「はぁ…で、他には?」
「…密姫に「密姫はもういいから、アンタ反省して無いでしょ。」
…ぐうの音も出ない。正直考えてきたのは本当だが全く案がでなかったと言うのが現状だ。
「ごめん…案が思い付かなくて。」
「やっぱりね、そんなこったろうと思った。」
(本当に私がいないと何も出来ないわね。)
明の心情はともかく、事が上手く進んでいくことにディレは内心ほくそ笑む。
「…しょうがないから、私がどうすべきか教えてあげわ。」
「!、ありがとうディレ。」
思わず礼をする明、それを見てまたもゾクゾクと体を震わせるディレ。
「ふぅ……まずその暗さよ、学校でのアンタ無駄に暗いから。態度だとか表情だとか明るくすればアンタも回りも自然と変わるでしょ。」
「…えっと、一応明るく「それと!」
ディレの一喝する声で部屋が再び静まり返る。
「一番大事なのは、アンタが荒真希さんに会わないって事。」
「…え?」
変わるのならば当然そこに行き着くのはわかっていたが、それでも出来るだけ考えないように。
それほど、今の自分にとって受け入れがたい提案だった。
「それは…。」
「アンタ、絶対変わんなきゃでしょ。少なくともアンタが過剰反応しなくなるまで荒真希さんに近づかないこと。でなきゃ絶対変われないから。」
(それに、その後会わせて見せつけないといけないし。)
言葉に詰まっていた明だったが、不意に昔、ディレと悩みを話し合ったことや協力をかってでた昨日の事を思い出す。
(…どんなに悪態をついても、ディレは悩みに向き合ってくれたじゃないか。)
それなのに僕のワガママで、それを踏みにじってどうする。
「完全には無理かもしれないけど、やるよ。
宜しく、ディレ。」
「ふん、それで良いのよ。」
こうして彼女と共に、僕が変わるまでの協力関係が始まった。
この時、ディレとの関係が再び戻れるような気がして、勢いのまま握手を求めた。
「あっ、言っとくけど今まで通り、そっちからは話しかけないでね。」
…気のせいだろうか。
ディレのおかげでコメディ風味が増える様になりました、しかしあくまでヤンデレ…。