ヤンデレ
初めてなのでこれから精進していきます!宜しくお願いいたします。
僕は嫌われている
胸踊る新学期から1ヶ月、2年の教室で普通に過ごしていた僕は最低と最高を同時に味わっていた。
いや、どちらも最低だったか…偶に解らなくなる。
一年の頃は最高だった、絵に描いたような青春を送り、人生の中でTOP2の幸せにいた。
2年になればそれ以上が続くと思っていた程絶頂期、断トツの幸せにいたはずなのに。
…なんでこうなったんだろうか、また解らなくなる、と言うより考えたく無い、とても…怖い感じがする。
今、授業の合間になっても僕に話しかける人は居ない。近づいてすら来ないだろう。
一年の頃共に遊び、親に明かせぬ様な事も相談してくれた子も同じクラスだ、友達と呼べていた人もポツポツといる。
しかし今は誰もいない。
授業中はとても静かだ。先生の声だけが響き渡るが頭に入らない。それ以外の偶に出る音が全部自分への陰口に聞こえる、心なしか周りの生徒机も離れ行ってしまい、深穴の溝に落ちていく様なそんな気もする。
ようやくの昼休み、息が詰まる程の空気から抜け出せて少し気が紛れる。しかし最近だと授業中とも変わらぬ静けさが健在し、近くの生徒はスッと自然に自分から離れる。
周囲が静まり返り、隅の壁際で冷ややかな談笑が聞こえるがこれは仕方ない事な気もする。
何もする事が無く席に齧りつきながら以前は何をしていたかを考え、思い出すと同時に思い止まる。
(…お腹すいた)
ふと学食にある150円のフライドチキンを思い出す、今思えば唯口実を作りたかっただけかもしれない。
ふいに立ち上がった時、周りがビクッと反応し一瞬静寂に染まる、いつもの光景だ。
...
廊下を歩きつつも同様な反応が見て取れる。どうやらクラスの空気と言うものはそれだけに止まらない。
露骨にはしないが自分を含んでいるだろう会話や視線を感じる。以前は何も感じなかったのに…最近はとても辛い。自分にできる強がりはひたすら何も無い先に視線を送り、目標に向かい進む続ける事のみだ。
その時
トンッ と何かにぶつかった、どうやら人の様だ。
「あっすいませ……ン」
此方の不注意で早急に謝ろうとしたが、周りの反応を見て息が詰まる。咄嗟にお辞儀で済まそうとしたがその時にはもう彼は離れてしまっていた。
謝罪出来なかった事やまた同様の反応をされたんじゃ無いかと様々ネガティブな思いを募らせ、こう言ったことに嫌な思いをする事が最近ある。良い傾向だ。
外庭の一本道に差し掛かった、ここを過ぎれば目当ての食堂だ。芳醇な香りがここまで届き堪らなくなる、今の学校で僅かな幸せだ。
(...?)
その時、食堂とは別の幸せ…それと不幸を感じた。胸騒ぎがする。
まるで怖いもの見たさの様に周囲を見渡すと、そこには…風にその美しき髪を靡かせたこの世で最もな絶世の美少女がへたり込んでいた。
「あ…輝…」
彼女は荒真希蜜姫
透き通る様な黒髪を肩まで伸ばした、少しギャルっぽいが何処となく清純そうな少女。普段はクールっぽく物静かに振る舞っているが、少し慌ててへたり込んでいる姿でさえ絵になり、その姿は大いなる神々しさを醸し出していた。
そんな絶世の美少女が僕の彼女なのだから、この学校も捨てたものではない。毎日希望が持ってここに来れるのは彼女のおかげだ。思わぬサプライズで見惚れていると、ようやく彼女の異変に気付く。
どうしてずっとへたり込んでいるのだろう、あんなに怯えて…
疑問はすぐに解決した、彼女の周りを蜂が飛び回っていたのだ、そう言えば彼女は虫が苦手だった気がする、それも並のよりかなり大きい。僕はなんの躊躇も無くただひたすら一心不乱に走り出した。
「…!?こ、来ないで、--危ない!」
(大丈夫、飛びながらも蜂は動いてない、これなら…)
僕は走りながら思い切り勢いをつけて右手でその蜂を叩きつけた。バチッと、似合わない大きな音が鳴る。この感触からして見事当たった様だ、最悪の事態は避けられたかも。
「怪我は無い!?荒真希さん!」
第一に彼女の安全を確認しつつ周囲を見渡す、しかし彼女は塞ぎ込んだままだ、もしかして…。
とても震えている様子を横目に所々確認すると一部、彼女の服が血で染まっていた。
「もしかして!蜂に刺されたの!?何処から血が…」
ドクンッ
心臓が鼓動すると同時に、流石に疑問を抱く。蜂に刺されたとしても血が出るのかと。
冷静さを少しずつ取り戻し確認すると血は彼女の服だけでなく僕の右手にもついていた、先程から鼓動が止まらない。
どうか間違いであってくれと周囲を見渡す。するとそこには、
「あっ…」
同じ生徒であろう人物が倒れ込んでいた。
「だ、大丈夫ですか!?」
(まだ大丈夫、可能性はある!可能性は…)
彼に駆け寄りながらも言い訳のように声に響かせているわかっていても認めたくなかった、回りからざわついた声が聞こえ軽蔑の眼差しで見られている事は明白だと言うのに。
「一体どうしたんですか!?」 何を言ってるんだ
「し、しっかりしてください!」 ザマァ見ろ
「…しっ、しっかり…」無断で僕の彼女に近づくからだ
自分勝手に落ち込んでいる者を横目に彼がうっすらと目を覚ます。
「…ハ、ハァ…ハ…」
過呼吸の様なものを繰り返し、僕を見るなりその場から立ち去っていった。
一体どれ程の時間がたっただろう、ほんの数秒の出来事に対し、自分は長い間立ち尽くしていた気がする。
真実と言う絶望が押し寄せてくる、またやってしまったと…。
呆然としていると一人の少女が荒真希さんに駆け寄ると血相を変えて此方を睨み付けた。
「あんた何したの…もう密姫には近づかないでって言ったでしょ」
「サヤ…だ、大丈夫だから」
確か彼女の友達だった気がする、しかし今は何も考えられない。微かに聞こえる罵詈雑言のなかゆっくりと身体を動かし、また普通に戻ろうと足掻いた。
「ごめん、なさい…」
一瞬静かになると彼女達はこの場を去り、回りの人も少しづつ離れていった。
もうすぐチャイムが鳴ると言うのにその場から一歩も動けない、またやってしまったと頭の中で嘆く。
(あんなに誓ったのに!しっかりと心に決めたのに!普通に過ごしもう一度彼女に振り向いて貰うと決めたのに… 僕は…!
未だ彼女に振り向いて貰えると思ってる時点で変われていない、そう彼は普通では無い。彼女を愛するがあまり彼女にあだ名すと回りを巻き込み異常をきたす
彼は
(元)ヤンデレだ。)
1話 ヤンデレ
何処からか笑い声が聞こえた気がする 多分気のせいだ
拝読して頂きありがとうございます。
ハッピーかバッドかは未だ悩んでます!