03
(シューベルトがいないっ――)
森にハティが出た、そんな話が村に広がり自然と彼を探していた。
だが、どこを探しても彼がいない、おじさんに尋ねてみたが家にもいないようだ。体が細い彼は大型の狼の魔物にアッサリ食べられてしまいそうな気配さえする。
(まさか森に――)
最近、魔法がうまくいかないと思い詰めていたとおじさんも言っていた。妹のゾネちゃんにも魔力操作で負けているため、少し劣等感も抱いていたとも、おじさんは言っていた。
思い詰めた結果、無茶をして森の中に入っていったんじゃないか、そんな気さえする。
無事でいて欲しい。
そう願っていると建物の影からひょっこり彼が出てきた。ビックリしすぎて心臓が飛び出るかと思った。
「――っ! なにしてたの!?」
ずっと探していたのにいなくて、焦っていたためそんなセリフになる。
「……別になにもしていない」
うそ!
何か隠している顔をしている。そして何より、その右手に巻かれた包帯が何かあったことを物語っている。強引に右手を掴む。
「いたっ」
「これは何?」
「――っ」
気まずそうに彼は目線を逸らす。それから彼は決意を決めたようで話し出す。
「俺は右手に魔物を飼っている。これ以上は踏み込むな」
なっ! 魔物を飼っているって何!? 森で何かあったことは明白だ、もしや魔物に何か埋め込まれたり、魔法で何かされたのではないか!?
「……私に何かできることは……」
「ない、とにかく俺に構わないでくれ」
そういって彼は私のもとから去っていった。そして何もできない自分が歯がゆくなる。あなたは一体、何を隠しているの……?
私はこんなにも貴方の事を思っているのに。それなのに貴方が私に隠し事をするの?
そんな気持ちが少しだけ沸いてくる。
『全然、私の気持ちを分かってくれない』
その感情は嫉妬か渇望か。まだ幼い彼女には分からなかった。
それから少しだけ、彼とは距離を空けるようになった。彼もどこにいっているのか、村で見かけない日が多くなったというのもある。
実はほんの少しだけ、彼の視線がこちらに向けばいいな。そんな気持ちもあった。
だけど、たまに村で見かける彼の目線は常に前だけを向いており、こちらには向かない。
(何よっ――!)
そんな彼の態度に益々、私は鍛錬に没頭していく。彼にこちらを向いて欲しい。彼に構って欲しい。そんな気持ちばかりが膨れ上がっていく。
(だけどそれだって、15歳で彼を倒せば変わる)
いつしか彼と戦うことを待ち遠しく思っていた。