91話 開いた口が塞がらない
今起きていること
・クルルvsギマリ・ガンガン
・キョウヤ&ポイロvsアンニ・トートンルー
・アーサー=アーツ・ホーガンvsカニマニ・アルル&サーガ・ラントゥトーン
・冒険者たちvsその他大勢の魔族、魔獣&メモリープラット
・ラリゴ先生vs名も無き魔族
・バルトス・シリカ&カナリアル・ボンダ&鍛丸匡一郎vsナイリー・ハニュ
冒険者は見た、巨大な亀を。
「なんだ、あれ?」
「よそ見をするな!」
「……!」
冒険者は風により数メートル吹き飛ばされた。
もう一人の冒険者は言う。
「メモリープラットは強敵だ。気を抜くな!」
巨大な亀に怯えていた冒険者は、覚悟を入れ直す。
「ああ、ありがとう!」
そんな恐怖を与える亀。
彼は、自信満々にアーサーにこう言った。
「この形態は拙者の技の中で一番の防御力を誇……。がっ!?」
甲羅が粉々に弾け飛ぶ。アーサーは、笑った。
「あーっはっは!」
異常な防御力を誇っていたカニマニ・アルル。その防御力の正体は魔装。
アーサーはカニマニ・アルルを蹴り飛ばしこう言った。
「魔素が切れたな」
意識を飛ばすカニマニ・アルル。その裏で、サーガ・ラントゥトーンは彼を称賛した。
「よくやった、カニマニ・アルル。貴様のおかげで準備は整った」
時を戻し修復される機械。アーサーはあれを知っていた。この戦争の開幕を告げるビームを出したもの。
サーガは、詠唱するように言った。
「一撃必殺。クロムシヲ」
混合魔法リフレクター。アーサーはその魔法を使おうと周囲の魔素に命令した。
そう、魔法を使おうとしてしまったのだ。それは反射的に。長年の戦闘が、アーサーの足を掬った。
「ほう、魔法を使うか」
魔素が時を戻すように、アーサーの命令に背く。
「……!」
その光の集合体はビームのように一本の線へとなり、戦場を焼いた。
アーサーは避けようと体を動かすが、後ろに冒険者たちがいることに気づき、その場に仁王立ちする。
死の感触。アーサ=アーツ・ホーガンはそれを全て受け止めた。この一撃は魔族でさえ、耐えられぬ。辺りに落ちていた武器が同時に吹き飛ぶ。
「あーっはっは!」
だが彼は生きている。彼は人間であるが、人間という常識では測れない。
「これを耐えるのか?」
「あーっはっは! そんなわけがないだろう!」
アーサ=アーツ・ホーガン。彼はこの国を支える最強の盾にして矛。そんな彼は、時を戻したように天空から飛来した剣を持ちこう言う。
「お前は強い。だからお前の力を学んだ」
アーサの手の平に球体が現れる。それを見たサーガは辟易した。
「なに?」
「二度目の驚きだ。魔法が使えないオレを倒そうと考えていたのだろうが、残念。オレはお前の一歩上を行く」
魔法とは知識である。魔族の魔法を人間が使えないのは体内で生成される魔素を使用するという前提条件のもと作られているから。だから好みに合わない魔法はたとえ魔族だろうと使用できない。
周囲の魔素は個性を持たない。まだまだ研究が進んでいなく、何故個性がないのかはわかっていない。
……が、アーサーは個性のない魔素を使い、魔族の魔法を使用した。
魔法が得意な彼は、幼少期より魔法を見ることでその構造を理解することに長けていた。
今回も同じように、サーガの魔法を観察し、自分でも使えるように計算式を再構築した。法則の発見。それが、この現象の説明となる。
「お前のとは少し違うがまあいいだろう」
サーガこう思う。
(なるほど、クロムシヲがおかしな動きをしていると思ったから俺も刻裏を使用した。つまり、アーサーが刻裏を模倣したなにかと相殺し合って威力が弱まったという事か)
「素晴らしいな」
「あーっはっはー! だろう!」
彼らはついに、対等な関係に落ち着いた。いいや違う。
アーサーが勝る形となり、ここに対面してしまった。
サーガは死を感じてしまう。長の死亡。それだけは避けなければならない。だがこの場には、アーサーに怯える魔族しかいなかった。
(……予想外だな。万事休すか?)
そう思うサーガ。そんな彼と同じように、ほんの少し焦っている男がいた。
「二対一はずるいでしょ!」
「うるせえ! 勝ちゃあいいんだよ!」
アンニ・トートンルーと対面するキョウヤとポイロ。アンニは文句を言いながらも、ポイロの攻撃を避け続けていた。
そんな彼女を見て、キョウヤは焦る。
(まじいな……。決定打が与えられない。相変わらずオレの肩には尻尾が刺さってるし、このままじゃ出血多量で気絶しちまうぞ)
「エルムンダリアさえ突破できれば……」
キョウヤはポイロを見つめ、こう願う。
(頼むぜ、ポイロ)
ポイロはその思いを受け止めるように、斧を振るう。それを避けるアンニ。
こうしてまた、彼の術中にはまるアンニであった。
「んぎゃあ! あぶねえ」




