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41話 学問に王道なし

新章開幕です!

「アリアー!」


「夕奈さーん!」


 私はお城の廊下で叫ぶ。


「助けてくれー!」


 何故、こんなことになっているのか、これにはある事情があった。


 私は三日前、ジーダさんの弟子になった。とはいえ修行の時間がないと何ともならない。師匠が気を回してくれて、私のシフトの時間を、十二時から六時に変えてくれたのだ。しかもサービス残業をしなくて済むおまけつきで。


 私の望んでいた通りの充実した毎日だ。


 でもね。


(きつすぎるのよ!)


 毎日早く起きてランニング。午前の指導を受け、仕事に行く。そして帰って来るや否やまた指導。


 自由時間なし。


 そのせいで今、私は脱走しているのだ。鬼から逃げるように。


「ふぉっふぉっふぉ。逃走は許しませんよ、ユーナさん」


「ひえー!」


 私はアリアに手を向ける。アリアは目をそらしながらこう言った。


「が、頑張ってください」


「見捨てられた!」


 私は縄で捕獲(ほかく)された。


「ではユーナさん、再開しましょうか」


「ううー。ご褒美(ほうび)くれたら頑張ります」


 私は泣きながらそんなことを言った。師匠は縄で縛った私を引きずりながらこう言う。


「成長こそがご褒美です」


 まさに鬼の所業。


(ぴえんだお)


『異世界日記 十五日目』


 修行が始まったー! 私も頑張って、強くなるぞー! 目標は体を壊さないこと。バイトと修行を両立してやる! えいえいおー!


『異世界日記 十六日目』


 辛い。


 そして十七日目。おそらく今日も、こんな内容になることだろう。


 私は微笑した。はたから見れば変な奴だろう。でも、笑ってしまうのだ。修行は辛い。


(それでも私は力が欲しい。少しでも、大樹に近づくために)


 何より頑張るってのは、ちょっとだけ憧れていたしね。


 万葉木夕奈はそう思う。そしてそんな彼女の仲間であるクルルもまた、心を震わせていた。


「コレガ、メイドの心得だ! ワカッタカ。えークルル!」


「ハイであります!」


「ナラヨシ」


 クルルはメイド指導係ラリゴさんの指導を熱心に受けていた。


(大変だ、でも頑張る)


 夕奈からの手紙にも、書いてあったしね。


 お互い修行頑張ろうって。


 私は黒板を見つめた。筋骨隆々(きんこつりゅうりゅう)なラリゴ先生は、扉を指さしこんなことを言う。


「お前たち、今日から三日間、戦闘……いや、防衛術を教えてくれる先生が来たぞ」


 私含めたメイド見習い五人は同時に一点を見つめる。


 そこに現れる二人の人物。わたしだけは、皆と違う反応を見せた。


「レテシー」


 ボソッと呟く。


 現れたのは、大きな女性とレテシーだった。


 ラリゴ先生は言う。


「コチラ、ホーガン家に(つか)えるレテシーさんと、ソコのメイド長であり、あのニッコウの武術をツカウ、嘉村先生だ」


 私は目を輝かせた。


 ラリゴ先生は胸を張って言った。


「オマエら、アイサツはどうした!」


「よろしくお願いします!!」


 不安だ。でも、楽しみに思う。


 クルルは奮起した。


 一方その頃、紅木葉は……。


「うがー! やっと休み入ったー! やっと入ったー」


 マニュウはお酒を飲んで言う。


「それもう五回目」


「えへへー。嬉しくてさ」


 私は机に()()しながら、遠くを見た。


「さっさと反省して、夕奈たちのもとに行かなきゃね」


「そのためには、森を直さないといけないけどね」


「わかってるしー。わざわざ言うなしー」


「はいはい」


 あははー、と笑う二人。彼女らもまた、今日を生きている。


 紅木葉はお酒を飲み、クルルは嘉村さんと立ち会う。


 そして万葉木夕奈は、満足そうな顔でバイト先へ向かう。


 変わる、伸びる、日々を生きる三人は確実に、強くなっていた。


「さあ、やるわよ」


 まるで今まで出会ってきた人を抜かすかのように、万葉木夕奈は覇道を歩む。

ここまで読んでいただき、ありがとうございます!

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