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31話 早起きは三文の徳

 ()(のぼ)る。


 早起きをした私は、歯磨きをしながら鏡を見た。


(私じゃない)


 不思議な感覚、でも、嫌な気分にはならなかった。

 

 ペタペタと、裸足で歩く音が聞こえる。


 彼女はワクワクしていた。


 私は鏡を再度見る。


(うーん、美人。戻りたくないって一瞬思っちゃった)


 私は顔を洗う。そして顔を拭く。


 その頃、彼女はドアの前に立っていた。我慢できないような、希望にあふれた面持(おもも)ちで。


 私は髪を(くし)()かす。そして手袋型のドライヤーのようなものを着ける。


 手首についてある赤いボタンを押すと、手の平に魔法陣が現れ、微弱な熱が吹いた。


 ボタンの押す回数で強さは変わる。


 私は回転できるブラシで髪を()かしながら、熱風を当てた。


(アリアの髪、思ったよりも癖強い)


 前に直してあげた時よりも、もっと。自分でやるのがこんなにもキツイとは。


 今まで私はくせ毛だと思っていたけど、考えを改めなければならないのかもしれない。


 そんなことを考えてると、突然ノック音が聞こえた。


「……もう、髪直らない!」


 私は手袋を外し、扉へ向かう。


 レテシーかな? などと思いながら。


 私は扉を開けた。


「……」


 髪の青い少女がいた。


 私はすぐに目を輝かせる。そしてクルルの言葉を聞こうともせず、抱きしめた。


「誰かわかる?――っ!」


 私は言った。


「クルル、無事でよかった」


 私はクルルの手を引く。


「とりあえず部屋に入って」


 クルルは驚きながらも、微笑みながら部屋に入った。


 私は彼女を見る。不思議な気分だった。


「……ね、ねえ。私の声聞こえるの?」


 クルルは頷く。


「はい!」


 ガッツポーズを取りそうになる。だが我慢。


「よかったね、クルル!」


 クルルは笑った。


 その後おどおどしながらこう()いてきた。


「あ、あの……本当に夕奈(ゆうな)なんですか?」


 私は自分の体を見る。胸が大きかった。


(ああそうだ。わたし今、アリアだったんだ)


「あ、ごめん。私夕奈だよ」


 クルルは笑って言う。


「あ、だよね。よかったー」


 私はそんなクルルを微笑みながら見た。


 童顔で目がくりくりしてて大きい。肩まで伸びた青い髪を持っており、セーラー服を(もと)にしたような服を着ていた。


 裸足だったのが少し気になったが、わざわざ聞くこともないかと思いほかの部分を見る。


 何よりも気になったのは、クルルの背丈だ。


 低い。レテシーくらいしかない。


(本当に十二歳なんだな)


 と実感した。


 私は口を開く。


「クルルの声って、やっぱり優しい声なんだね」


 スライムの時とは少し違う。幼さを残しつつも、優しさを感じる声だった。


 クルルはベットを背もたれのようにして座る。そして言った。


「話すのって、楽しいね」


 私はクルルの横に座る。ふと、草原を思い出した。


「だね」


 クルルは頷く。


 そして私にもたれかかって来た。


「ジーダさんが体をくれたんです。四人くらいのおじいちゃんに頼んで」


「そうなんだ」


「はい。そのおかげで、ユーナさんに迷惑をかけずにお話しできます」


「そんな、私は迷惑だなんて……。そういえば」


 ふと気になったので()いてみる。


「元の姿には戻れるの?」


 クルルは頷く。


「この体は人形のようなもの。私の体を内部に浸透させてるんです。だから、戻ることはできます。……人間に戻るには、おじいちゃんたちの力が必要ですけど」


 クルルはペロッと舌を出した。


 私は微笑み、相槌を打つ。


「おじいちゃん達になにかしてもらったの――」


 ガタっと、目の前にバスケットが落ちた。その中に入っているリンゴとバナナが転がる。


 私は上を向いた。


「あ、ああ……」


 レテシーは顔を真っ青にしてこちらを見ていた。彼女は扉を勢いよく閉めてこう言う。


「ついにやりましたね、ユーナさん! この子を誘拐したんですか?」


 私は首を横に振る。


「本当にー?」


 レテシーは膝を曲げて私の前に座りながらクルルに()いた。


「あなたはどうしてここに?」


 クルルはすべてを話した。包み隠さず。


 レテシーは頷く。


「なるほど、理解しました。メイドの皆には私から話しておきます」


 私とクルルは同時にお礼した。


「ありがとうございます」


「はい」


 レテシーはニヤニヤしながら頷いた。そして言う。


「ちょうどいいですし、案内してあげたらどうですか? このお城を」


「……でも、私よく知らないし」


 レテシーは相槌を打ち、言う。


「それは問題ないです。私がいます」


 ふふん! と言いたげに胸を張るレテシー。私はクルルを見た。


「わたし、行きたいです!」


 クルルも行きたいらしいし、まあいいか。と思い、私は言った。


「それじゃあ、お願いしようかな」


 レテシーは笑みを浮かべた。


「わかりました、ありがとうございます! 準備して来ますね」


 そう言って部屋を出るレテシー。嵐のように現れて道を作ってくれた彼女だが、私はちゃんと聞いたぞ。


 レテシーが部屋を出るときに「やった、サボれます」と言っていたのを。


(まったく)


 サボるくらいなら休めばいいのに。


 と思う私なのであった。



「サボるくらいなら休めばいいのに」……???

意味重複してますが、夕奈にとってはサボる=休憩。休む=休息ということになってます。本当なら作中で説明した方がよいのだと思いますが、上手く入れれなかったのでここに書き込みました。

まだまだ未熟です笑。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

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