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25話 柳の下にいつも泥鰌はおらぬ

一日遅れましたが、投稿しました!

「いったい何のことを言っているの?」


「おやおや、アリア様。口調を変えたのですか?」


 おほほーとすました顔で煽ってくるメイドさん。


(かわいい顔してやること容赦ねえ)


「お、おほほー。口調は変えてませんの。だって、わたくしはアリアなのですから」


「へー。それはそれは、随分とお強くなられましたね」


「……?」


(お強くなられた? 一体何のこと?)


「え、えーと、そうよ、私は強くなったのです」


「何にです?」


「ふえ!?」


(んんん? この子は何を言っているんだい!?)


 ……もしかして、ハメられた? 冗談でしょ?


「えっと……」


「ふふふ、何に強くなられたのですか?」


 私は一度冷静になるために、大きく息を吐いた。メイドに悟られないように。


「心です。心を鍛えてまいりましたの」


「ほう、心と……たったの一日で?」


「はい。人間にはその可能性があります」


「ふーん」


 私はとどめを刺そうと思い、言った。


「それはそうと、主に対する言葉使いがなってないのですの。即刻、メイドを変えていただきたい」


(こんな危ない子とは、あまり関わりたくない)


 メイドは私を睨む。


「アリア様はそんなこと言いません」


 私はそんなメイドを見つめる。やらかした、ただそう思いながら。


 メイドは、片足を軽く曲げる。いわゆるカーテシーをした。


「私はレテシー・アルノミカ。幼少期のころからアリア様の世話をしている使用人です。さて、アリア様、改めて私を呼んでいただければ、この件は水に流しましょう」


 私は熟考する。


(正解はなんだ? こんなことならアリアに()いておくべきだった。レテシー? アルノミカ? それとも、あだ名? もしあだ名なら、詰みだな)


「……ならば改めて言います。レテシー、この件は水に――」


 厚底の靴が私の(あご)を狙う。とっさの判断だった。私はそれを避ける。


(どうやら、失敗したようだ)


「あんたねえ、もし私がアリアならどうする気よ?」


 今更アリアのふりをしてももう遅い。私は演技をやめた。


「あなたはアリア様ではありません。アリア様は私のことをオハナちゃんと呼びます」


(噓でしょ!? 一ミリも関係性が分からない)


 レテシーは目をつぶり回想を始める。


「私がまだ五歳か六歳のころ、アリア様は私をお花畑へ」


 私は好機だと思い、レテシーの口を塞いで何もない部屋に入る。そしてドアを閉めた。


「んー! んー!」


「ごめん!」


 私は小学生くらいの彼女のお腹に(ひざ)を入れた。


 だが彼女は真顔のままだった。


「……」


 私の腕から強引に抜けるレテシー。そしてこう言った。


「卑怯ですよ」


「それはこっちのセリフ。真顔はないでしょ、真顔は」


「それは失礼。少々血統に問題がありまして」


 ゴキゴキと指を鳴らすレテシー。


(……まずいな。彼女に変身したらアリアに戻れなれなくなる)


偽装(フェイク)』は封印か……。そして、室内で『天眼』は効果がない。


 どうする?


 私とレテシーはお互いを見つめあう。


(ならばとれる手は二つ。和解か逃走か)


 話せば何とかなるか?


 こちらを睨むレテシー。私は無理だな、と悟った。


 ならば逃げ一択。


 私は一歩踏み出した。その刹那、二つの音が私の耳に入る。


 一つはレテシーが踏み込んだ音、そしてもう一つは……何かが(きし)む音だった。


 一瞬で思考が逆転する。私は方向転換し、レテシーを見た。


(踏み込め、敵よりも早く、間合いへ)


 背を低くし、レテシーよりも早く攻撃を繰り出す。


(彼女は軽い)


 なら! 私は力士のように体当たりし、レテシーの体をつかんで俵を持つように彼女を持つ、そして後ろに投げた。


 レテシーは舌を鳴らす。


「こしゃくな! って!?」


 レテシーが何か言っていたが、私は気にせずドアへ向かった。


「あう!」


 ドスっと、柔らかくも重い何かに当たった。


 私は上を見る、そこには彼がいた。


 レテシーは焦ったように言う。


「ジーダ先生! この人侵入者です、アリア様の恰好してますが!」


「ほうほう」


 と執事さん。私は(わら)にもすがる思いで言った。


「ごめんなさい、バレました!」


「ほうほう」


 と執事さん。執事さんはドアを閉め、こう続けた。


「ユーナさん、素晴らしい動きでした」


「ありがとうございます。って!」


(何言ってるんだこの人!? 今、ユーナさんって……)


 レテシーは困ったように言う。


「ユーナ?」


「はい」


「執事さん!?」


「どうかしましたか?」


「どうかしましたじゃないですよ」


 私は困惑していた。すると執事さんはこんなことを言った。


「気づかれてしまった。ならば、彼女も巻き込めばいい」


「……?」


 私とレテシーは同時に首を傾げた。


 執事さんは言う。


「レテシーさんは信用できます。仲間に引き入れましょう」


 何を言っているのかわからない、そんなこと可能なのか、などの様々な思いが混じりあい、私は驚いたようにこう言った。


「……え!?」


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