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17話 鬼の居ぬ間に洗濯

 姿見を見る。白いドレスに身を包んだ私がいた。


(やっぱり。私じゃ、お姫様にはなれないな)


 そんなことを思いながら振り返る。


 長椅子に座るお姫様。その後ろに立つ執事。


 そして遠くで息のつまる思いをする私。


 私たちは、三人で密室にいる。


 なぜこうなったのか。それにはいろいろな事情があった。


 アリア・ホーガンは言った。


「スライムの森が燃えた件でお伺いしました。ゲルム村長はどこですか?」


 シュラは一人、前に出て(ひざまず)く。


「私はシュラ。冒険者です。村長は今席を外しています、もう少しで帰ってくると思いますが……」


 アリア・ホーガンはお辞儀をした。


「わかりました。なら、待たせていただきます」


 シュラは頷く。アリア・ホーガンは笑顔で言う。


「その間にお話でも聞かせてもらいましょうか。この件について」


 私はやけに腰の低いお姫様だと思った。


 このセリフを言うまでは。


「そうですね、誰にしましょうか?」


 アリア・ホーガンはシュラを見る。


 シュラは面倒だと感じ、馬車にいる女を指さした。


「ユーナがいいですよ、今回の件にかかわってますし」


「わかりました!」


(わかりました、じゃねえよ!)


 なんでその場にいない女に話を聞こうと思ったのかなあ? シュラさんもなんで私に任せるのか。


 はあー。億劫だ。


 私は何とか間を持とうとした。


「お姫様」


「はい」


 お姫様は紅茶を飲む手を止める。


 私は()いた。


「こういっちゃあなんですけど、なんで地方の森が焼けたくらいで、お姫様であるあなたがこんなところまで来るんですか?」


 彼女は私の疑問に正直に答えた。


「スライムから採れる薬は我が国を支える貿易品の一つです。魔界の生き物がいること自体珍しいですしね」


 可愛い笑顔を浮かべるお姫様。それとは対照的に、可愛げの欠片もない表情を浮かべる私。


「なるほどです」


「はい。お役に立てて何よりです」


 手を鳴らすお姫様はこう続けた。


「では、次は私の番です。あなたの名前を教えてください」


「わたしのですか……? 私は、万葉木夕奈」


 なにかに怒るように執事さんは目を開いた。お姫様は言う。


「まんようぎ、ゆうな。この発音の仕方……もしかして、ニッコウ出身ですか?」


(ニッコウ……?)


「いえ、私は地球の日本から」


 お姫様は興奮したように言った。


「地球!? もしかして、召喚者ですか?」


 私は首を縦に振る。


 子どものように目を輝かせる彼女は、守ってあげたくなるくらい愛くるしかった。


「そんなに珍しいんですか?」


「しょりゃ、もちろん」


 興奮で活舌が回らなくなっている彼女を他所(よそ)に、扉が開いた。


 私とお姫様は同時に見た。


 汗を流す村長と、顔を真っ青にした木葉さんを。


 最初に口を開いたのは、木葉さんだった。


「ごめんなさい!!」


 その一言から始まった話し合い。


 はてさてどうしたものか。


 てか! なんで私はここにいるんだ……?


 圧倒的な場違い感を残しながら、私は椅子に座った。


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